東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで100日を切ったが、足元が揺らいでいるようだ。自民党の二階俊博幹事長が「これ以上とても無理だということだったら、これはもうスパッとやめなきゃいけない」と爆弾発言。これまで関係者が口にしなかった大会「中止」の選択肢に言及したことで、波紋を広げているという。
二階氏の発言は、現今のコロナウイリスの蔓延状況を考慮すれば、至極まっとうな発言だと思う。今後関係者は、五輪の「中止」をタブー視することなく、実態を冷静に分析した上で結論を出していただきたい。
二階氏はその後、自らの発言について「安全・安心な大会の開催に向け、支えていくことに変わりない。ぜひ成功させたい思いだ」と軌道修正。中止も選択肢になり得るとの発言に関し「何がなんでも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で申し上げた」と弁明したという。
国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長は100日前を迎えるに当たって「大会は必ず開催され、7月23日に開幕する」と語るインタビュー映像を公開した。菅義偉首相も昨年9月の就任以降、「五輪は人類が新型コロナに打ち勝った証し」と繰り返し、開催を推進してきた。
政府関係者によると、「大会関係者の間で『中止』という言葉はタブーのはずだった」と明かしたという。二階氏の発言を受け、組織委の橋本聖子会長は「あらゆる科学の知見を結集し、開催できると思ってもらえるよう準備していく」と大会開催を強調した。
政府や五輪関係者は3月25日にスタートした、全国を巡る聖火リレーにより、冷え込んだ開催機運を高めることをきたいしていたという。ところが大阪府では公道での実施が中止され、松山市ではリレー自体の中止が決まった。4月中に判断するとしていた観客の上限についても、東京都などで「まん延防止等重点措置」が適用されたことから5月以降に先送りされる見通しである。
日本選手権で復活優勝した競泳の池江璃花子選手、ゴルフの米メジャー・マスターズを初制覇した松山英樹選手など、五輪に向けて日本選手の奮闘が続く。7月の東京五輪での活躍を期待したいが、各種世論調査は予定通りの五輪実施を支持していない。共同通信が4月10〜12日に実施した世論調査では、今夏開催すべきだとの回答は24.5%にとどまり、再延期(32.8%)と中止(39.2%)を合わせて70%以上が今夏の開催に否定的である。大会関係者は「中止となったら政権が持たない。投じた費用が無駄になるぐらいなら突き進むしかない」と話したというが、政治が優先されるとしたら言語道断。まず国民の安全・安心を優先させてほしい。小池百合子東京都知事は新型コロナ感染対策の一環として「(他県から)東京に来ないでください」と強く呼びかける。一方で、夥しい外国人が入国する「東京五輪」は予定通り推進する方針というが、矛盾していると思う。
五輪を巡っては、国内での変異ウイルスの感染拡大などで3月に海外観客の受け入れ見送りを決めた。観客の上限などについてIOCや組織委、政府などが協議をして方向性を示すというが、「タブー」なしに冷静に分析して最良の結論を導き出してほしい。
<直言篇157>