2021年6月16日、韓国・朝鮮日報によると、韓国原子力研究院が「福島第一原発の処理水が韓国に及ぼす影響は微々たるものだ」とする報告書を作成した博士研究員に「警告」処分を下したことが物議を醸している。

記事によると、韓国原子力学会は今年4月、原子力研究院のファン研究員が昨年8月に作成した「福島原発の汚染処理水処分による韓国国民への放射線影響」と題する報告書を公開した。報告書は韓国への影響について「微々たるもの」と結論付けており、「日本の情報公開不足により処理水の海洋放出のリスクは予測すらできない」とする韓国政府の立場とは異なる内容だったという。

これに対し原子力研究院は今年5月、「部署長の承認なく報告書を作成した」「政府が発表した報道資料と相反する内容であるのに報告書が学会を通じて公開された」などの理由でファン研究員を懲戒委員会の審査に付した。懲戒委員会は今月7日にファン研究員に「譴責」処分を下したが、ファン研究員は長官表彰者であるため「警告」処分に減軽されたという。

しかし学界では、今回の懲戒について「非常に異例のこと」と批判の声が上がっている。原子力学会も「今回の懲戒は、政府の立場に反する報告書を作成したことによるものであり、学術活動の自律性を深刻に侵害する」として、14日から会員約5000人に対しファン研究員への警告処分に抗議するための署名を募っている。原子力研究院労働組合も「報告書の内容が政府の立場と一致していたら懲戒処分は出なかった」と批判しているという。

一方、原子力研究院は「放射能を問題ないとする資料の発表により社会的混乱が起きると予想できる状況で、部署長の承認なく流出させたことは違反行為にあたる」と説明したという。

これを見た韓国のネットユーザーからも「政府の気に入らなかったら科学的な研究結果も葬ってしまうということ?」「科学的事実の上に政治的判断がある」「気を付けよう。政府を厳しく批判したらこのアカウントも削除されるかもよ」など懸念を示す声が上がっている。

一方で「学術の自律性より国民の命の方が大事」「大丈夫と言うなら、福島の海水を飲んでみてほしい」「ファン研究員は日本からお小遣いをもらったのだろう」「実際に被害が生じても責任を取らないくせに。研究員はもっと慎重に発言するべきだ」などファン研究員の報告書に批判的な声も多数寄せられている。(翻訳・編集/堂本)