中国で「革命の聖地」などを訪れる「レッドツーリズム」が急成長している。政府も積極的に後押しする。米CNNは「中国人観光客が国内にとどまることを余儀なくされるコロナ禍の逆風がレッドツーリズム産業を押し上げている」とも報じた。

レッドツーリズムについて、CNNは「概念自体は数十年前からあるが、中国の国家観光計画に正式に取り入れられたのは2004年のことだ」と報道。「12年に習近平国家主席が就任して以来、何度も奨励してきた。これが追い風となり、かつては地方政府や国内旅行者のニッチな層にすぎなかった参加者は急速に拡大している」と伝えた。

文化観光部は「赤い史跡」で働く全国の精鋭ツアーガイド100人を選出した。「赤い史跡」とは、中国共産党史にとって歴史的、文化的な重要性を帯びた場所を指す。選ばれた人はさらなる研修を受けるために北京を訪問。中国政府によると、この研修は「赤い遺伝子の確固たる継承者、赤い物語の優れた語り手、赤い精神の鮮烈な解釈者、赤い文化の忠実な拡散者、赤い潮流の強力な指導者になるためのスキル伝授」を目的としている。

香港理工大の准教授で、中国観光政策の専門家でもあるミミ・リー氏は「昨年、レッドツーリズムに参加した観光客は1億人を超え、国内観光の11%を占めた」と指摘する。中国では7月に共産党創立100年を控え祝賀ムードが広がっており、成長中のこの層を取り込もうとする旅行業界関係者にとって、今はこれ以上ないタイミングとなる。

この節目に合わせ、官民両方のセクターでほぼ毎週、関連の取り組みが始まっている。中国最大の旅行予約プラットホーム「シートリップ」は今年、「赤い巡礼」に使う100の独自ルートを立ち上げた。ツアーでは中国共産党の入党の誓いを口にしたり、革命歌を歌ったりする体験が味わえる。

レッドツーリズムは地方の振興にも寄与する。例えば故毛沢東主席が立てこもり、抗日戦争を指導した北部・陝西省の延安。かつて経済的な後進地だった延安には今、ピカピカの空港や新しいホテル、スターバックスの開店予定を宣伝する看板が立ち並ぶ。19年には7300万人以上が人口200万人あまりの延安を訪れ、わずか3年前からほぼ倍増した。

故トウ小平氏の故郷の西部・四川省の広安にある旧宅は四川省で初めて中国の観光業界で最高ランクに当たる「5A」の格付けを取得した。旧宅で11年間にわたってガイドを務めているチャン・イーウェンさんは「最近の若者はわが国に対する誇りや自信を深め、より強く国に自己同一化している。彼らは中国が貧困国から今の姿になった過程を学びたがっている」と話したという。(編集/日向)