2021年7月29日、環球時報は、東京五輪テニス女子シングルスで敗退した大坂なおみに対して日本国内から批判の声が出ていることについて、日本の多様化社会の実現に向けた道のりはまだ遠いとする文章を掲載した。以下はその概要。

東京五輪の最終聖火ランナーを務め、金メダルが有力視されていた大坂が27日にまさかの敗戦を喫すると、一部のネットユーザーからは大坂の日本代表としての資格を疑う声が出始め、「日本人を自称しているのに、日本語が不得意じゃないか」「負けたのは、君が代が歌えないからじゃないのか」といったといった辛辣なコメントさえ見られるようになった。

大坂が2018年9月に全米オープンで優勝すると日本国内ではフィーバーが巻き起こり、日本メディアは「大坂が日本の人種差別を変えるかもしれない」と報じ、大坂が日本における多様性社会推進の象徴になる可能性について論じた。それまで日米の二重国籍だった大坂は、19年に日本国籍を選んだ。しかし、今年に入って全仏オープンの記者会見を拒否し、棄権すると、一部の日本人は手のひらを返したように大坂にブーイングを浴びせるようになり、この状況が東京五輪開幕まで続いた。

そして大坂が今大会で早々に敗退して日本国内から猛烈な批判を浴びたことについて、米紙ニューヨーク・タイムズは「日本の多様性に向けた努力が削がれた。日本人はなおも、狭義の日本人に当てはまらない者を排斥している」と評した。

日本では混血者のことを「ハーフ」と呼ぶ。厚生労働省のデータによると、2019年に生まれた赤ちゃんの30人に1人は両親のいずれかが日本人ではないことが明らかになった。30年前には50:1だったことを考えれば、日本の人口構造は確実に変化しつつある。しかし、英紙エコノミストは「日本社会が混血児に与える生存空間は今なお小さい。両親が日本人で、流暢な日本語を話せる者こそ真の日本人と考えられており、人種主義は日本においてなおも大きな問題となっている。混血児は見た目によっていじめの対象にされやすく、就職市場や住居といった面でも人種差別が広く存在する」と伝えている。

エルサルバドル出身の日本人陸上短距離選手である藤原武氏はニューヨーク・タイムズに対し、「日本がかつて長きにわたり国を閉じていたことを理解している。そして、日本の伝統的な考え方や、世界でも最も強い同質文化を持っていることも知っている。思うに、日本人は『変わること』でより良くなるということに気づいていない」と語り、マイノリティー民族が日本で「正常」とみなされるまでにはなおも長い道のりが必要だとの考えを示した。(翻訳・編集/川尻)