日本出身で米国籍の真鍋淑郎さんが今年のノーベル物理学賞を受賞したニュースは、中国や韓国でも大きく取り上げられた。ノーベル賞レース、特に科学分野では日本がアジアで独走する。今回も手が届かなかった両国からは「自由な雰囲気が必要」「純粋科学への関心が薄い」など、さまざまな反応が相次いだ。

中国籍のノーベル賞受賞者は科学分野でまだ1人しかいない。中国系米国人などの受賞はあったが、中国籍の人が受賞したのは、2015年にマラリア治療薬の研究で生理学・医学賞に輝いた女性研究者の屠呦呦さんが初めてだった。

理由は中国に対する国際的な評価がまだ高くないことだ。質の高い論文数で1位になったとはいえ、ノーベル賞選考に当たっては国際的に著名な賞を受賞していることや、同じ分野の研究者間での評価など、さまざまな「指標」で判断される。この点で中国はまだ弱い。

指標の代表格が米情報調査会社クラリベイト・アナリティクスの「引用栄誉賞」。同社は9月22日に論文の引用数を基にノーベル賞が有力視される21年の「引用栄誉賞」16人を発表した。日本からは3人が選ばれたが、中国は入らなかった

こうした現状について、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では複数の著名ブロガーが「私たちの国で一部の教授たちが考えているのはプロジェクトを通しての金もうけ」などと批判。さらに「科学研究にも才能が必要で、才能(のある人)は自由を愛する」「科学者には自由な雰囲気が必要」といった声も目立った。

一方の韓国。主要紙は「日本人がまたノーベル物理学賞、科学分野で25人目」などと一斉に報じたが、行間には悔しさもにじんだ。韓国内では「今年こそ初受賞」の期待が高まっていたからだ。

KBS(韓国放送公社)などが生理学・医学賞の候補として取り上げたのは、高麗大学の李鎬汪名誉教授。李教授は韓国北部を流れる漢灘江流域に生息していたセスジネズミから腎症候性出血熱の原因ウイルスを分離することに成功。1988年には世界で初めて出血熱予防ワクチンを開発した。

中央日報は化学賞の有力候補としてソウル大学化学生物工学部の玄沢煥教授を挙げた。玄教授は米国人研究者と共に物理学、生物学、医学システムなど広範な応用分野に使用できるナノ結晶合成研究を進めた。

しかし、2人とも受賞は逃し、期待はまた失望に終わった。韓国メディア・ニューシスによると、真鍋さんと同じ気候科学分野の研究者のソウル大学地球環境科学部のソン・ソグ教授は「韓国は純粋科学への関心が薄い。気候変動対策も政治家や科学者の仮面をかぶった非専門家が主導している」などと指摘した。(編集/日向)