中国で、銀行の大口顧客と銀行の“バトル”が注目を集めた。顧客男性は銀行の接客態度が悪すぎるとして数千万元(5000万元は約8億9000万円)の預金をすべて引き出すと宣言。ネット世論は当初、男性に好意的だったが、入店しようとした男性がマスク着用を拒否したことが原因との指摘も出た。男性は指摘に対して反論した。中国メディアの中国新聞社が運営するネットメディアの中新経緯が報じた。

男性が腹を立てたのは上海銀行虹梅支店の接客態度だったという。男性は16日夜に微博(ウェイボー、中国版ツイッター)に、「有史以来、接客態度が最悪の銀行。電話対応から警備員、その他の職員まで客に貸しがあるような態度で、言葉づかいにも礼儀と言えるものはない」と投稿した。

微博には、身元などが確認できたユーザーには、アカウントに「V」マークを付与する制度がある。男性の本名は明らかにされていないが、インターネット戦略の専門家として認定されているという。アカウント部分には比較的若い男性の写真が掲載されている。男性は、預金している数千万元をすべて引き出して、別の銀行に預けると宣言した。

ただし、1度で全ての金額を引き下ろすことはできないので、16日には500万元(約8900万円)だけを引き下ろしたという。中国では最高額紙幣が100元(約1780円)札なので、500万元分の紙幣はかなりの分量になる。男性はスーツケースを数個、用意した。また、銀行側が紙幣の数をごまかした場合、「その場を離れたらこちらの責任」として、カウンター前で紙幣の枚数を確認した。男性は「これも権利だ」と主張した。

中新経緯によると、同件を紹介する記事を書きあげた時点で、微博では48万6000人のユーザーが、男性の投稿に対して「いいね」を寄せた。コメントは1万4000件に達した。

ところがしばらくして、問題は男性側にあったとする投稿が寄せられた。「感染症が流行しているのに、(男性は)マスク着用を拒んだ。そのため警備員が阻止した」と紹介し、「銀行支店側の責任者も、長い時間をかけて説明したが男性は受け入れず、銀行支店側の責任者に土下座して謝罪することを要求した」とする指摘だった。

男性は同指摘に対して警備員は一言も発せず、あごや手で建物外部を示すジェスチャーをしたと反論。「私は非常に協力的だったが、彼の態度は不愉快極まりなかった」と主張した。男性はさらに「建物内の職員はマスクをあごのところにつけていた。つけていないのと同じだ」とも付け加えた。

なお、記事によると、ある銀行業界関係者は、これほどまでに多額に現金を引き出す場合には、マネーロンダリングを防止するための規則により、予約が必要であり金額も制限を受けるという。また、男性が利用していたのは裕福層を対象とするプライベートバンキングというサービスだが、同サービスであれ一般的なサービスであれ、マネーロンダリングを防止する規則によれば、顧客側は多額の現金を引き出す場合、銀行に対して用途を説明せねばならないという。(翻訳・編集/如月隼人)