成都大熊猫繁育研究基地によると四川省都江堰市内で18日、「科学技術でジャイアントパンダの生息地を守る」をテーマとするフォーラムが開催された。同フォーラムでは、希少動物の研究や保護が、例えばパンダの状態把握に「顔認識」技術を導入するなどハイテクを大胆に取り入れることで作業が大きく様変わりしていることが明らかにされた。

フォーラムを主催したのは、生まれた時から人が育ててきたパンダを自然界に放す研究を行う「都江堰繁育野放研究中心(研究センター)」だ。出席した四川大学生命科学学院の冉江洪教授は、最近になり野生パンダの頭数が1800頭以上になり、絶滅についての脅威度が「危惧種」から「危急種」に1段階引き下げられたと説明。

冉教授はさらに、「通信などのハイテク技術がジャイアントパンダの調査や保護作業を促進している。パンダの群れの変化状況をよりよく理解できるようになった」と紹介した。

冉教授はパンダ保護の仕事に20年以上携わっているが、かつての調査作業で使った道具と言えば、コンパスと地形図ぐらいのものだったという。1999年に始まった第3次調査では、衛星測位システムや衛星により地上の状態を知るリモートセンシング、赤外線写真などの技術が導入され、作業スタッフはiPadを持ち、情報を電子的に記録していったという。

さらに最近では、四川省林業草原局は多くの企業と提携し、提携相手の一つである華為技術(ファーウェイ)が構築したクラウドプラットフォームを利用した草原森林火災監視システムが四川省全域をリアルタイムで観測し集計しており、パンダ生息のための保護対象となっている森林の生態状況も常時把握できるようになったという。

パンダの保護には人工知能(AI)も威力を発揮している。成都大熊猫繁育研究基地の侯蓉副主任によると、同基地では現在、パンダの識別への「顔認識技術」の導入を進めている。識別成功率を90%以上に引き上げることに成功したという。

侯副主任によると、2000年には135頭だった屋外で飼育しているパンダは、現在は673頭にまで増加した。大幅な頭数増加は栄養管理、餌やり、繁殖、遺伝情報管理などに投入した技術力のおかげという。侯副主任は、AIやクラウドなどの新技術がパンダなど野生動物の保護に新たな契機をもたらしたと説明した。

その他の専門家からも、野生動物の保護にデジタル技術が大きく貢献しているとの意見が出ている。中国は生物の多様性の研究について「世界の先頭集団」に位置しており、ファーウェイなどのハイテク企業や非政府組織、さらには一般大衆によるモニタリングなどもさまざまな階層で積極的に参加していることが、生物多様性の保護と管理を推し進める役割りを果たしているという。(取材:RR /構成:如月隼人)