2021年10月24日、新浪に、韓国のネットドラマ「イカゲーム」があぶり出す韓国社会の地獄模様について紹介する記事が掲載された。以下はその概要。

巨額の借金を抱えて人生に行き詰まった456人が、巨額の賞金を目指して1人だけ生き残れるゲームに参加する様子を描いた「イカゲーム」は、Netflix(ネットフリックス)で9月17日に配信開始して以降、20日余りで世界の視聴世帯が1億3200万を超えた。外国で韓国語を学ぶ人が増え、韓国のスーパーマーケットではイカの売り上げが急増、中国の雑貨品市場では同作品の象徴と言えるポップカラーのジャージや黒いマスクに対する海外からの注文が引く手あまただという。

過去にも同じような作品が韓国内外で制作されてきた中で本作品がブームとなった理由は、プレイヤーの境遇が韓国社会の抱える弊害と重なるからである。積み重なる負債の前になすすべがなく、命を賭けてゲームを繰り広げる参加者はまさに、社会の底辺でもがき苦しむ人々の縮図だ。そしてまた、貧富格差の拡大、借金増が韓国社会において解決困難な問題になっているという背景もある。

韓国経済は1960年代以降驚異的な成長を遂げた。その成長ぶりは「漢江の奇跡」と称されたが、同作品の主人公ソン・ギフンはまさにこの黄金時代に成長するとともに、その衰退をも目の当たりにしてきた。ソンは2008年の金融危機の影響で会社をリストラされ、フライドチキン店などを経営するもことごとく失敗、借金を膨らませたが、監督によれば09年に実際に起きたリストラ事件を人物設計の参考にしたという。

また、今なお感染が続く新型コロナによって大打撃を受けた個人経営者たちの境遇は、作品に登場する人物の絶望的な状況にそっくりなのである。新型コロナにより、韓国では少なくとも22人の自営業者が債務を苦として自殺したほか、この1年半だけで個人経営者の累積債務は総計66兆ウォン(約6兆4000億円)にまで膨らみ、45万3000軒もの店が閉店に追いやられたという。しかも、新型コロナの経済停滞により青年の就職率も一段と悪化した。

社会の柱となりつつある若者が不公平な上に先行きも暗い自国の状況に不安を感じる中、競争教育で育ち、「漢江の奇跡」を経験してきた親世代は「努力すれば報われる」と尻をたたく。しかし、すでに当時のような報いは得られない。韓国日報が昨年ミレニアル世代に対して実施した調査では、70.5%が自国を希望のない「ヘル(地獄)韓国」と評している。YouTubeでは同作品のパロディ版として「ムン・ジェインゲーム」なる動画が公開され、人気を集めている。不動産価格の高騰、個人事業者の自殺、性差別など韓国国民が直面している「サバイバル試練」が、実は文在寅(ムン・ジェイン)が仕掛けたクレイジーなゲームだったという設定だ。

主人公のソンはゲームに勝ち残って大富豪となり現実世界に戻ったが、母親は孤独死し、娘も継父とともに米国へ移住しており、生きる意味を失った。そして、「イカゲーム」の仕掛け人が、実は本人もゲームに参加し途中で射殺されたはずの老人であり、その動機が「金持ちの娯楽」だったことが明らかにされている。このストーリーについて、仁荷大病院のソン・ジュンホ医師は「世の人は常々、金銭であらゆる問題を解決でき、お金で幸福を買うことができると思い込んでいるが、それは錯覚に過ぎない」と語っている。(翻訳・編集/川尻)