中国では、最近になり放送されたテレビ番組「夢想改造家(家の改造を夢見る)」に対する非難の声が沸き上がった。「これじゃ、使いにくいに決まっている」と分かる“魔改造”をした上に、莫大な費用を請求したからだ。中国の大手ポータルサイトの網易は24日、問題の改造を紹介する文章を掲載した。

自宅の改造を依頼したのは、中国北西部の農村に住む高齢の夫婦だ。苦労して5人の子を育て、大学にも入れた。成長した子のほとんどは都会で生活するようになった。夫婦の大きな楽しみは、子や孫が集まって過ごす年越しという。

住んでいる家は築後40年ほどで、ずいぶん傷んでしまった。子らは心配して、都会に引っ越すよう勧めるが、両親は同意しない。長年に渡り住んできた故郷こそ自分が根を下ろす地であり、にぎやかな都会でも、黄土の地に建てられた家ほどよい部屋があると思えないからだ。

そこで夫婦は「夢想改造家」に相談した。夫婦が望んだのは、2階建ての「洋館」だった。冬には北西の風が激しく吹く土地なので、寒さを防ぎやすいと考えたのと、子らもいずれは定年退職するだろうから、その時に戻って来ることのできる使い勝手のよい広い家を残しておきたいと考えてからだ。

しかし番組側が手配した建築設計士は、夫婦の希望を「全面却下」した。「美的でない」などと酷評した上で、自信満々に「未来志向の農村建築を設計する」と断言した。

そして番組で紹介された「改造後」の家に、視聴者は納得しなかった。例えば食堂だ。これまでの年越しの様子を示す写真では、狭い部屋にテーブルを2つ置いて、皆で料理をつついている。にぎやかな話し声や笑い声が聞こえてくるような光景だ。年越しの際には20人が集まるという。ところが新しい食堂は妙に寒々としている。長いテーブルが置かれているが、テーブルにつける人数は7、8人ぐらいだろうか。

また、農村の家庭の年越しの際には、台所が「てんてこ舞い」状態になるが、改造後の台所はとても狭く、2人ぐらいが入っただけで手足を満足に伸ばせない状態という。

客間には大きなガラスがはめ込まれた。たしかに中庭がよく見えて景色はよい。ところが、冬には保温性が悪く、夏の午後には灼熱の日光が差し込む。冷暖房費だけでも大変な出費になるのは確実だ。

各部屋に通じる廊下の幅はとても狭い。人がすれちがうのもようやくだ。そのため高齢の夫婦が「将来、車椅子を使うようになったら、方向を変えることもできない」と指摘された。

洗面台は、四角いコンクリートの台に陶器のシンクが置かれている。トイレの床もコンクリートの打ちっぱなしだ。そのため、高齢者が転倒した場合などの危険性を考えていないとの批判が出た。トイレの床も、濡れた場合には滑りやすいとも指摘がある。

物置部屋の外壁は、通風や昼間の採光を考慮したのか、レンガを互い違いに組むことで、腕を差し込めるかどうかといった大きさの穴がたくさん開いている。文章はその穴について、「一番喜ぶのはネズミだと思う。これからは、排水管をつたって食べ物を盗みに入る必要がない。堂々と入ってこられる」と皮肉った。

この「魔改造」を見て多くの人が最も憤慨したのは、依頼者に対する請求が132万6000元(約2400万円)と、極めて高額だったことだ。鉄筋価格が高騰していたこともあり、設計士は費用を抑えようと考えてレンガを使用したが、「芸術性」を持たせようとして特殊なレンガの組み方を指定した。そのため、北京から技能を持つ職人を呼び寄せねばならなくなり、費用がかえってかさんでしまったという。ネットでは多くのユーザーが「すぐに金を返せ」などと書き込んだ。

網易掲載の文章によると、「夢想改造家」にはこれまで、批判の声が出なかった。設計士が「人間本位」の仕事をして、家に対する依頼者の期待に応えてきたからだ。文章は今回、建築士が「やらかし」てしまったことについて、「自分中心で顧客の求めを考慮していない。基本的なことの多くが解決されていない。芸術的な創作に陶酔してしまった」と論評した。

中国の「夢想改造家」は日本のテレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」と極めてよく似たコンセプトの番組で、放送が始まったのは2014年だった。「大改造!!劇的ビフォーアフター」の放送開始は02年だった。(翻訳・編集/如月隼人)