2021年12月1日、中国メディアの観察者網は、「三上悠亜によって、漢服警察がまた出動した」として、9月に中国のネット上で起きた「漢服騒動」の問題点を論じた記事を掲載した。以下はその概要。

日本のタレント・三上悠亜が9月に微博で漢服を着た動画を配信したところ、胸元の露出が多いデザインだったことから「漢服を侮辱するな」「売春宿の漢服か」などの批判的なコメントが殺到した。また、多くのネットユーザーがセクシータレントという三上の「特殊な性質」に怒りの原因を求め「中国の伝統的な漢服文化に対する侮辱」との認識を示した。

かくして、三上の行動がネット上の「漢服警察」たちを再出動させる結果になったのだが、おもしろいことに「漢服警察」に反発する「『漢服警察』警察」が出現し、さらには「『漢服警察警察』警察」まで出てくる事態になった。すると、この状況を見かねた中国の古代伝統衣装の専門家も声を上げ始めたのである。

専門家たちは概ね、漢服という概念は極めてぼんやりとしたもので、三上の服装が「漢服の概念に反する」という「警察」の指摘は不条理であるとした。また、三上が漢服を着用することは中国伝統文化のPRになり、支持されるべきものだとの見解を示した。すると、ネット上でも三上の服装に何ら問題はなかったと多くの人が考えるようになった。

ところが、納得のいかない「警察」たちは専門家たちにまで攻撃の矛先を向け「何も知らないやつがつべこべ言うな」などと罵声を浴びせ始めたのである。

「漢服警察」現象からは、3つの問題点が見えてくる。まずは彼らが「正統」という概念を執拗に求めすぎていることだ。次に「漢服を着る」ということが一部の人の間で「自分の優越感を示す行動」になっている点。そして3つ目めは「伝統の復興」をいいことに、封建的な悪習を復活させようとしていることだ。

漢服愛好者たちの間には、心から中国の伝統文化を愛したり、きれいな服を着るのが好きだったりといった純粋な愛好者もいるだろう。しかし同時に、「中華文化を守る」という大義名分のもとで自らの鬱憤(うっぷん)を晴らそうとする輩(やから)がいることにも警戒しなければならないのだ。

三上自身、単に自分がいいと思った服装を微博にアップしただけで政治的な意図を詮索されるとは思ってもみなかっただろう。ましてやその服装が「説明しにくい仕事」ではなく、日本で大きな影響力を持つファッションショーに登場した衣装だったのだから、なおのこと驚いたに違いない。

漢服自体、何千何万とあるファッションスタイルの一種にすぎず、他人の利益を損なうことが無い限り、われわれは各個人の趣味趣向を平等に尊重すべきであり、個人の趣味趣向を自らの価値観を押しつけるための武器にしては絶対にならないのである。

なんといっても、中華文化が持つ最大の特徴は包容力の高さなのだから。(翻訳・編集/川尻)