中国紙・環球時報は28日、日中韓の時代劇をめぐり「パクリ論争」が相次いでいると報じた。以下は、その内容。

■「日本っぽい時代劇」に視聴者から不満

中国では24日にコメディータッチの時代劇「我叫劉金鳳」が動画サービス・優酷(YOUKU)で配信を開始した。同作は、ある村の少女・劉金鳳がひょんなことから皇后になり、持ち前の誠実さとポジティブさで皇帝の疑念を晴らし、協力して敵国の陰謀を打ち破るというストーリーだが、作中の帽子や靴、衣装に施された紋様などが日本風だとの指摘があり、「中国産大河ドラマ」とやゆされた。

記事は「コメディーと位置付けているとはいえ、中国の時代劇であるなら衣装やメイク、小道具は中国伝統の様式にのっとるべきだ。しかし、発表されたポスターには多くの典型的な日本の要素があった」と指摘。「男性がかぶる帽子は日本の伝統的な貴族のものとそっくりで、紋章は着物の柄としてよく見られる桜だ。女性の衣装も漢服には見えない」とした。

その上で、日本の要素が色濃い同作には視聴者から少なからぬ不満の声が出ているとし、「フィクションだとしても、このように大量の日本文化を持ち込むべきではない。制作者の意図が理解できない」との声を紹介。制作会社はこうした声にコメントを発していないものの、男性主人公を務めた俳優はSNSの関連の投稿を“こっそりと”削除したという。

■トンデモ時代考証は他にも

記事は、「国産の時代劇に日本の要素が登場することは近年よく見られる」とし、「特に京都や奈良に残っている唐代の建物をそのまま模倣してドラマの中に登場させている。一見すると雰囲気はあるが、よく見ると大きく異なっている」と説明。例としてドラマ「風起霓裳」のオープニングを挙げ、「奈良の東大寺大仏殿をそのままコピーしたものだが、これは唐破風(からはふ)であり、中国の歴史には登場しなかった」と指摘した。

さらに、同様の問題は「風起洛陽」、「斛珠<コクジュ>夫人〜真珠の涙〜」、「酔麗花〜エターナルラブ〜」といった作品にもあるとし、日本風の枯山水やちょうちん、菓子などが作中に登場するとしたほか、「雪中悍刀行」の自殺シーンには「切腹」という方法が採用されたことについて「こうした武士道の代表的な行動は古代中国の女性にはなかったもので、制作者の思考回路にがくぜんとさせられる」と評した。

一方で、黒澤明監督の映画「乱」で米アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞し、多くの中国映画の衣装デザインも担当した日本の衣装デザイナーのワダ・エミさんや、黒澤明氏へのオマージュ映画「我的唐朝兄弟」を制作した楊樹鵬監督を挙げ、「このような芸術的な再創造は『日本的要素をそのまま取り入れる』ことと同義ではない」として、必ずしも日本の要素が悪なのではないことを強調した。

■制作者は丁寧に、視聴者は冷静に

記事は、最近の韓国の時代劇ドラマについて「中国の伝統文化を盗用するケースが相次いでいる。これらは視聴率とコスト削減を追求し、専門性を無視している可能性が高い」と指摘。韓国ドラマ「月が浮かぶ川」には「楚喬伝〜いばらに咲く花〜」、「慶余年〜麒麟児、現る〜」、「瑠璃」などの中国ドラマをそのままコピーしたとの疑惑があること、別の韓国ドラマ「ホンチョンギ」にも「孤城閉〜仁宗、その愛と大義〜」、「永遠の桃花〜三生三世〜」などの中国ドラマとキャラクターの類似点がみられることを紹介した。

その上で、「こうした模倣は商業行為であることが多い。中国の時代劇ドラマは近年、韓国に大量に輸出され人気を博しているため、こうした現象の発生は避けられない」としつつ、韓国ドラマ「朝鮮駆魔師」をめぐっては「月餅」などの中国の要素が数多く登場したため視聴者の不満を買い、広告撤退などで放送中止に追い込まれたことにも言及した。

中国芸術研究院副研究員で、中国文芸評論家協会青年工作委員会副秘書長の孫佳山(スン・ジアーシャン)氏は「時代劇はやはり年代を区別し、衣装や道具には明確な差をつけるべき。日中韓の文化的に重なる部分について制作者はきちんと区別すべきで、手間を省くためにそのままコピーしてはならない」と指摘する一方、視聴者についても「文化的な自信を高める必要がある。ドラマの中の他国の文化要素に対して過度に敏感になる必要はない」との見方を示した。(翻訳・編集/北田)