独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは9日、「なぜタイは中国人観光客にとって人気がなくなったのか」とする記事を掲載した。

記事によると、タイ観光局は、今年の中国からの訪問者について、年初の予想と比べて延べ150万人近く少なくなると推定している。専門家は、その原因として、中国人の旅行傾向の変化と中国の経済問題を挙げている。

タイは新型コロナウイルスのパンデミック後の国境再開を受けて、中国からの観光客が急増すると予想していた。観光局は当初、今年の中国からの観光客が延べ500万人になると予想していた。しかし、11月までの中国からの観光客は延べ約300万人で、年末時点で約350万人と推定される。

中国出身のジャーナリストで、米ライフスタイルマガジン、ロブ・リポートの元編集者ビンセント・ツアン氏によると、中国の旅行トレンドは変化し、中国人は国内旅行をより好むようになっている。その理由は、アジアの他の地域では航空運賃やホテルの宿泊料が依然として高いためで、「中国にはラグジュアリーな旅とエコノミーな旅の両方で多くの選択肢がある」という。

不動産危機、雇用市場の悪化、過去最高の若年層失業率などを含む中国の経済問題も、人々が海外旅行について二の足を踏む一因となっている。中国人の消費力が低下し、中国とタイを結ぶ国際線の便数もコロナ禍前の水準に戻っていない。バンコクのチャイナタウンの店主や市場の出店者らは、今年の中国人観光客の数は以前よりも少ないと語っている。別の人気観光地である南部のプーケット島でも、中国からのホテル予約が予想よりも少ない。ハイアットリージェンシーのセールス&マーケティング担当ディレクター、ランジート・ビスワナタン氏によると、コロナ禍前は同社のビジネスの18〜20%が中国から来ていたが、今ではその割合は5%だという。

9月にバンコクのショッピングモール、サイアム・パラゴンで銃乱射事件があり、中国人1人を含む3人が死亡した。タイ当局によると、事件の報道を受けて中国人観光客約6万人がタイへの旅行をキャンセルした。中国で8月に公開されて大ヒットした映画「孤注一擲(No More Bets)」もタイのイメージに影を落とした。東南アジアを舞台にした詐欺事件を描いた作品で、どこの国かは明示されていないものの、バンコクの有名なスクンビット地区の名前が記された道路標識を示すシーンなどもある。

タイ政府は、中国人観光客のタイへの入国を容易にするよう努めている。セター・タウィシン首相は9月、30日以内の観光目的で入国する中国人は来年2月までビザなしで中国本土からタイに入国できると発表した。2019年にタイを訪れた外国人観光客数は延べ3900万人という記録的な数字となったが、うち延べ1100万人が中国人観光客だった。しかし、コロナ禍後の22年の中国からの到着者は延べ27万人にとどまった。今年は中国から延べ350万人が訪れると推定されており、タイ当局は中国市場からの力強い回復を予測し、来年にはその2倍以上の延べ800万人以上になると予想している。しかしマレーシアを拠点とするアジア観光アナリストのゲイリー・バウワーマン氏によると、今年の既存の要因が依然として中国人観光客が来年にかつての水準に戻るのを妨げる可能性がある。(翻訳・編集/柳川)