2024年4月10日、華字メディアの日本華僑報網は、「春闘に完全勝利した日本人が、財布のひもを一層締めている」とする文章を掲載した。

文章は、今年に入って日本経済に微妙な変化が見られており、日経平均株価が上昇を続けて1990年代のバブル期に記録した最高値を更新したほか、賃金水準が30年間の停滞を経て、ついに大幅な上昇を見たと紹介。JAMものづくり産業労働組合では60の加盟組合が今年の春闘において昨年の賃上げ率を大幅に上回る5.32%の平均賃上げ率を確保したと発表したことを伝えた。

また、ホンダが89年以来の高水準となる5.6%の賃上げを発表し、トヨタも99年以来最大となる月額2万8440円の賃上げ要求を満額回答、日産も2005年の現行制度導入以降最大となる月額平均1万8000円の賃上げに合意し、全日空もこの30年余りで最大の平均5.6%の賃上げ、イオングループも約40万人のパート従業員の時給を平均7%引き上げる方針を示したと紹介している。

そして、大企業を中心とした賃上げの波は業界全体の賃上げを促す効果があるとし、中小企業も雇用を確保する上で賃上げが不可欠になると指摘。コスト転嫁が難しい中小企業の経営は今以上に圧迫される可能性があるものの、積極的な行政指導もあって中小企業も昇給に踏み切らざるを得なくなっているとした。

文章は一方で、賃上げの流れが押し寄せているものの、市民は自らの生活が楽にならないことに気づいているとし、生鮮食品を除いた今年2月のコア消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.8%上昇し、30カ月連続上昇となったほか、物価上昇要因を除いた2月の労働者1人当たりの実質賃金収入は同1.3%減と23カ月連続で前年同月を下回ったことを紹介。物価上昇に賃上げが追いつかない状況が続いており、実質賃金収入の減少率はさらに拡大していると指摘した。

その上で、岸田文雄政権による株価高騰と賃上げ促進の背景には、市民の手元にお金が増えたように感じさせて消費意欲を刺激し、経済成長を促すという「貨幣錯覚」という経済理論が存在すると解説。「しかし今の日本は、賃金以上に物価が上昇していることで市民が消費に二の足を踏んでいるのが実情。個人消費支出の回復には、予想以上に時間がかかりそうだ」と評した。(翻訳・編集/川尻)