中国では、米国などに入学した人が帰国しても、よい待遇での就職が困難な状況だ。

中国人男性のAさんは米国に留学して高校、大学、大学院で学んだ。専攻は建築で、大学院は世界最高峰の美術大学として評価されるロードアイランド・スクール・オブ・デザインだった。しかし帰国して専門家としての仕事を探すと、手取り月給が6000−7000元(約13万−15万円)の職しか得ることができなかった。年末の手当てなどを含めて、上海市での標準レベルだ。

この話題についてネットには「みんな、大変なんだ」「留学はもう、そんなにスゴいことじゃない」といった意見が寄せられた。「現在、中国の帰国子女は雇用市場で課題に直面している。かつては、帰国子女はレベルが高くて高収入層とみなされていたが、帰国者が増大するにつれて、人材の質にはばらつきが生じ、現実の雇用待遇と本人の期待との間に差が生じている」との指摘もある。

ネットで発表された留学関連の調査結果によると、留学生が帰国の際に直面するさまざまな問題のうち、「中国国内の優秀な人材がますます多くなり、就職についてポストが限られ、競争が激しい」が91.85%で最も多かった。「留学には多額の費用がかかる。(帰国後の)給料が期待に届かなくて、投入した金銭が取り戻せないのではないかと心配だ」が39.86%で続いた。

中国ではかつて、米国や西欧、日本などで留学した経験のある若者が、中国で教育を受けた人とは比較にならない「世界の最先端」の知識や技能を身に付けているとして、「黄金の人材」などと呼ばれてもてはやされた。しかし中国国内の教育環境が整備され水準も向上すると、留学経験者は「金メッキ」などと呼ばれるようになった。中国で教育を終えた者との差は、「表層面だけ」との意だ。

そして今や、留学経験者はそうでない者と比べて「膜1枚を貼っているだけ」とも言われるようになった。名目上の差があるだけで、実質はまるで同じという主張だ。(翻訳・編集/如月隼人)