2024年6月11日、米エンターテインメント情報週刊誌のザ・ハリウッド・リポーターが、中国のアニメが世界への影響力拡大に努めていると紹介する記事を掲載した。

記事はまず、「中国の映画業界は、同国の歴史アニメ『長安三万里』の大ヒットが中国アニメ制作会社の新時代の幕開けになることを期待している。現在開催されているフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭では、中国の映画ブースがまさにこの考えの最前線に立っている。20社以上の中国の映画制作会社が参加し、国際的な映画制作者たちの関心を引こうとしている。中国の映画制作会社・中国電影合作制片公司の担当者は、『中国のアニメ制作会社とその作品の海外出展は、中国と外国の映画制作者の協力を促進し、国際的な業界関係者や観客に、中国の映画制作者が共に成功する未来を望んでいることを伝えるものだ』と述べた」とした。

続けて、「中国のアニメ制作会社・追光動画スタジオが制作した『長安三万里』は昨年、世界の興行収入2.5億ドル(約390億円)を達成した。その多くは中国国内のものであったが、その題材と演出は大きな注目を集めた。同スタジオは技術面に多大な投資を行ったとし、共同創設者兼社長の於洲氏は、『過去10年間、中国のアニメ産業は急速かつ顕著な発展を遂げてきた。2Dアニメは中国アニメの伝統的な形式だったが、ここ10年間で制作品質が向上し、CG(デジタル化)アニメが主流となった』と言及した」とした。

長安三万里

さらに、「中国のアニメは技術的な進歩だけでなく、物語の制作方法も改善されている。中国のクリエイターたちは創作の範囲と視野を広げ、以前は孫悟空や哪吒(ナタ)などの神話や童話に焦点を当てていたが、現在は歴史や現代社会生活にまで関心を広げている。『長安三万里』はその突破口となり、中国の歴史や文化の古典的な作品を探求するための機会をもたらした。中国映画ブースでは、近日公開予定の『白蛇』第3部や『熊出没』の新シリーズなどを含む30本以上のアニメ映画が展示されている。『熊出没』シリーズの世界の興行収入は、この10年間ですでに10億ドル(約1560億)を超えている」と紹介した。

そして、「近年、中国のアニメ映画の制作レベルは着実に向上し、映画の質も絶えず向上している。中国のアニメ制作会社は国際市場への進出を加速させ、中外合作(中国と外国の共同制作)が盛んに行われるようになった。これにより、ますます多くの中国のアニメ映画制作者が国際舞台で認められ、海外の同業者や観客の注目を集めている。於氏は未来の中国のアニメ産業の展望について、『この業界には大きな潜在力がある。新しい投資や新しい制作者が増えると予想されるが、それと同時に観客の期待値も高くなっている。総じて、これからの10年間はよりエキサイティングなものになるだろう』と述べた」と伝えた。(翻訳・編集/岩田)