華為科技(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)が日本時間25日深夜、広東省の深セン市内の空港に到着した。孟CFOは2018年12月1日にカナダ国内の空港で逮捕され、同月11日からは軟禁状態に変更されたが、いずれにせよ帰国できないでいた。米国の華字メディアである多維新聞は25日付で、バイデン政権は今のところ、トランプ前政権と違う考えも示しているが、米中の対立構図は新たな段階に入ったのであり、中国にとって「ほっと一息」の状況ではないと主張する論説を発表した。

孟CFOの逮捕及び軟禁は、米国当局がイラン問題との絡みで「複数の国際機関を欺くための陰謀容疑」があるとしてカナダ側に要請したことによるものだったとされる。多維新聞記事は、孟CFOの身柄の扱いについて「米中貿易戦が激烈に矛を交える中での、米国に拉致された“人質”だった」と論じた。孟CFOが自由を奪われた期間は2年10カ月、計1028日に達したという。

記事は、孟CFOがカナダの空港で逮捕された日が、当時のトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の直接交渉により、両国とも関税の引き上げをやめるとの合意に達した日であり、多くの人が米中が臨時休戦したと認識した矢先だったと回顧した。

孟CFOはカナダからの帰国の途上、航空機内で「強大な祖国がなければ、私の今日の自由はなかった」と語ったという。なお、深センの空港には孟CFOの帰国を喜び、出迎えのために足を運んだ人々が待っていた。孟CFOは自分を出迎えた人々に対して、短いスピーチをした。

多維新聞記事は、米国の政権交代について、「『型どおりにカードを切らない』トランプ氏から、政治経験の豊かなバイデン氏に変わった」と論評し、孟CFOの解放はある意味で、トランプ時代の「歴史的遺産」に対するバイデン政権の姿勢の変化を示すものとの考えを示した。

記事は、バイデン大統領が先ごろの国連総会での演説で「冷戦を避ける。平和的競争」と発言し、しかも、中国やロシアを名指ししての言及もなかったことから、「米国の歴代大統領の中でもまれにみるハト派」と見なされるようになったと解説。孟CFOの身柄を自由にしたことも、中国との関係を早急に改善したいとの重要なシグナルとみなせると論じた。

記事は、米大統領の気候問題の特使であるケリー元国務長官の度重なる訪中にも触れ、米国に対する中国の「闘争の最低ライン」の一線がはっきりしたことで、米国が戦略を変えつつあることを示唆すると評し、一連の動きについて即効性がある可能性は乏しいが、関係が冷え込んだ米中関係にとって、「重大で明るい知らせであることに間違いはない」と論じた。

記事はただし、米側が孟CFOの帰国を許したなどの状況があっても、中国にとって「ほっと一息」の状況ではないと主張。米中間の争いは構造的なものと指摘し、キッシンジャー元国務長官の「米中関係が以前の状態の戻ることはない」との言葉を紹介した上で、「情勢について過度に楽観的になってはならない。幻想は捨てねばならない。持久戦の準備を十分にしっかりとせねばならない」と主張した。(翻訳・編集/如月隼人)