米軍の対中国シフトがますます鮮明になった。米国防総省は11月29日、バイデン大統領の指示で進めていた「世界規模の米軍態勢の見直し(GPR)」の結果を公表。中国に対抗するため、インド太平洋地域に重心を移し、オーストラリアと米領グアムで軍事拠点の増強に注力する方針を明らかにした。

米CNNなどによると、GPRはバイデン大統領が就任直後の今年2月に指示し、オースティン国防長官が3月に着手。バイデン氏は最近、その報告と提言を承認していた。台湾問題などをめぐって米中間の緊張が高まる中、バイデン政権は中国への対抗を外交の優先課題としてきた。国防当局の高官らは中国軍の近代化に対し、強い警戒感を示している。

GPRの内容は機密扱いだが、国防総省高官は記者団に米領グアムと豪州で滑走路などの軍事インフラを強化するとともに、米自治領北マリアナ連邦など太平洋の島々で燃料や弾薬保管庫の兵たん施設建設を進めると表明。「同盟・パートナー国と連携を強めてさまざまな構想を推進することで、中国の侵略行為と北朝鮮の脅威を抑止し、地域の安定に寄与する」と強調した。

豪州に戦闘機や爆撃機を巡回駐留させることや、韓国への攻撃ヘリコプター部隊の常駐も構想の一例に挙げた。ほかにも同盟・パートナー国とさまざまな取り組みを行っているとして、「今後2、3年で具現化できるだろう」と述べた。

GPRはまた、中東からミサイル防衛部隊や海軍戦力を引き揚げ、インド太平洋地域と欧州に再配置する方針も示した。国防総省高官は10月に沖縄近海で米英両国の空母打撃群と海上自衛隊の艦艇が合同演習を行ったと指摘し、「戦力の戦略的再配置を行う中で、インド太平洋でこうした活動に集中したい」と語った。

国防総省のカーリン次官補によると、米国は同盟国、友好国との75回にわたる意見交換などを経てGPRをまとめた。相手の国々には北大西洋条約機構(NATO)加盟国やオーストラリア、日本、韓国、さらに中東・アフリカ地域の10カ国以上が含まれる。米国の国防計画を左右する脅威として中国を想定していることから、GPRではインド太平洋地域が大きな焦点となったという。

GPRについて、中国外交部の趙立堅報道官は30日の記者会見で「米国がインド太平洋を軍事化し、中国封じ込めに全力を尽くす本当の意図を十分にさらけ出した」と批判。「中国の国防力強化は自国の利益の保護のためで覇権主義的な米国とは本質的に違う」と述べ、「中国脅威論を口実にした軍事力強化に断固反対する」と主張した。(編集/日向)