中国では新華社系シンクタンクの瞭望智庫を通して、「日本の『強襲』、中国スパコンは『落伍した?』」と題する、李瑶氏の署名入り文章が発表された。

文章が注目したのは、半年に1回発表されるスーパーコンピューターの性能ランキングで、日本の「富岳」が4回連続で「世界最速」と判定されたことだ。記事は、富岳の演算速度を1秒当たり44億2000万回の1億倍と紹介。速度第2位とされた米国製の「サミット」は14億9000万回の1億倍で、第3位の米国の「シエラ」は9億5000万回の1億倍で、第4位だった中国の「神威・太湖之光」は9億3000万回の1億倍だったという。

なお、「富岳」は2020年6月発表のランキング以来、単純な計算速度だけでなく、TOP500(単純計算性能)、HPCG(アプリケーション実行性能)、HPL-AI(AI性能)、Graph500(ビッグデータ処理性能)の主要性能の全てで、4発表連続で世界第1位を維持している。

瞭望智庫発表の文章は「一つの国のスーパーコンピューターの実力は、わずかな上位ランキングだけを見てはいけない」と主張。最新のランキングでは、中国のマシンっは全体の34.6%の173台で、米国は29.8%の149台だった。文章は「現在に至るまで上位500位のランキング中、中国のスーパーコンピューターは一貫して、割合が第1位」と論じた。

文章は、中国がスーパーコンピューターの開発に力を入れるきっかけになったとして、「ガラス部屋事件」があったと紹介した。1980年代に、中国政府・石油工業部が巨額を投じて米IBMのスーパーコンピューターを購入したが、米国側は中核的技術を盗まれることを恐れて、建物内の部屋の中に、さらに四方がガラス壁で作った部屋を設置させたという。ガラス部屋に入るドアを開けるには鍵と暗証番号の入力が必要で、中に入れるのは米国人スタッフだけだった。また、計算結果も米国側が審査した上で中国側に引き渡していたという。文章によると、この「ガラス部屋の屈辱」が、中国をスーパーコンピューターの自主開発に奮い立たせることになったという。

文章はさらに、スーパーコンピューターの性能競争で、中国や米国は次世代型の「E級スパコン」の競争に入っていると指摘した。中国や米国はすでに「E級スパコン」の原型機を作成しているが、日本は資金投入額などの問題もあるという。文章は「中国と米国はすでに新たなレースで競っている。日本が同じレースに参加したいとして、すでに距離をつけられている」と主張した。(翻訳・編集/如月隼人)