米国のバイデン大統領が20日、韓国に到着した。今回の外遊は韓日歴訪で、日本滞在は22日から24日にかけてだ。24日には日本、米国、韓国などが参加する「インド太平洋経済枠組み(IPEF、アイペフ)」の発足に向けた宣言が行われるとみられている。中国メディアの環球時報は21日付で、IPEFには多くの欠陥があると主張する論説を発表した。著者は黒竜江省社会科学院東北アジア研究所の笪志剛所長。以下は論説の要約だ。

米国は気勢を上げるために、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどがIPEFの最初の創設メンバー国になる可能性があると、敢えて「ネタバレ」に踏み切り、インドやASEANにも参加呼びかけを加速させた。

しかしIPEFには多くの欠陥がある。まず、性格がはっきりしないことだ。これまで米国の一部メディアが報じたように、域内サプライチェーンの弾力化、公平な貿易の促進、インフラの連結、クリーンンエネルギーと低炭素の実現など、各国に共通する問題への取り組みを主眼とするのか、それとも、米国が公然と中国を抑制しようとする試みなのかが不明だ。IPEF設立は「米国のため」なのか「インド太平洋地域のため」なのか。判断できずに困惑している国もある。

IPEF参加国の中国に対する考え方は異なる。経済における米国の中国排除は鮮明だ。日本は、アジア各国と提携して中国に対抗しようとしている。一方で韓国はサプライチェーンについての各国の提携を主張しており、IPEFによって中国を疎外することには慎重姿勢を見せている。また、IPEFが台湾の参加を認めて中国が猛反発する可能性を懸念する国もある。

三つ目はIPEFのルールの支離滅裂さだ。例えば地域的な包括的経済連携(RCEP)ではルールや制度が絶えず刷新されている。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)では過去最高水準の自由貿易のルールが実現した。IPEFでは、日米の地政学的な必要性が優先され、関税削減や市場アクセスなどの強固なルールが犠牲にされた。すなわち、規則上の義務はない。これでは、IPEFによって互恵的なウィンウィンの構図を作ることはできない。また、米国が包括性やバランスを恣意に解釈して他国を従わせる恐れすらある。

また、中国は2020年の時点で、120以上の国と地域にとっての最大の貿易相手だ。新型コロナウイルス感染症が流行した影響で、中国が最大の貿易パートナーになった国も多い。これまでの中国との関係で獲得した成果を放棄する国があるとは考えにくい。アジア国際戦略研究所のエグゼクティブディレクターのジェームズ・クラブトリー氏は、「IPEFに、中国とインド太平洋諸国の経済貿易統合を希薄化する効果はほとんどない」との見方を示した。

米国はIPEFについて、RCEPやCPTPP、さらには中韓FTAのような成熟した多国間・二国間協定ではなく、参加には議会の批准を必要とせず、法的拘束力を持たない一方で、IPEFは突発的な要因でいつでも変更される可能性があると認めている。IPEFへの参加が見込まれる、あるいは参加の可能性がある国は、IPEFにはルールという「縛り」がないために、米国の政権交代などでIPEFに突如として大きな変化が発生する可能性を懸念している。

米国内部でもすでに、IPEFに対する懸念が発生している。米国の一部のシンクタンクの専門家は、IPEFは寄せ集めであり、参加メンバーは互いに競争する性格が強いので、米国の貿易、産業、雇用が損ねられると批判している。共和党もこの非拘束的な同盟は米企業の市場アクセス拡大には何の役にも立たないと非難した。11月の中間選挙に関連して、IPEFがバイデン氏の民主党に「得点」をもたらす可能性は低い。

以上により、IPEFの本質は、バイデン政権が米中競争激化やロシア・ウクライナ紛争という状況にあって構築したプランと分かる。その本質は、経済という大義名分で中国の影響力を可能な限り抑制し、インド太平洋における米国の地政学的主導力を確立することにある。米国がうまく立ち回ったり、一時的に勇猛果敢さを発揮したとしても、IPEFの本来の目的であるはずの「アジア経済の新ルール形成」を達成することは困難だ。(翻訳・編集/如月隼人)