中国メディアの環球時報は12月6日、米ブルームバーグが4日に報じた「中国なしでは米国製電気自動車(EV)は手に入らない」とする記事を紹介した。

米国は12月1日、待望のEVに対する自動車税の軽減措置に関する新たな制度を発表した。記事は、「ひと言でいえば、『インフレ抑制法』に基づきEV税額控除を引き上げた措置だが、その前途は米国内からより多くのバッテリー部品が調達できるか、あるいは米国や自由貿易協定(FTA)締結国から調達する主要鉱物を増やせるかにかかっている」とし、「『懸念される外国の事業体(FEOC)』の製品は、こうした税控除の対象外として競争力を低下させる。このカテゴリには数カ国が含まれるが、最も重要なのは中国である」と伝えた。

記事は今回の措置について、「エネルギー転換(Energiewende)を製品と見なすならば、製品には『Mostly Made in China』と印刷されるだろう。だがそれでは米国で売れない。このため米エネルギー省(DOE)はマーケティングのトリックを使った」と評している。

中国が長期にわたり実施してきたクリーン・テクノロジーによる製造業の発展を目的とした産業政策は、中国が関連するバリュー・チェーンの大部分を所有あるいはコントロールしていることを意味し、その顕著なものがEV用バッテリーである。記事は、「ポピュリストが席巻する米国において、これは容認できないことだ。『インフレ抑制法』は、米国が優れたグリーン・テクノロジーを保有することを推奨している。だが現状において、中国の工場がコストを下げなければ、私たちは脱炭素化について信頼できる対話すらできないという避けられない事実に直面している」と報じた。

その上で、一例として、フォードがミシガン州に建設したバッテリー工場を挙げ、「この工場は中国の寧徳時代(CATL)から技術供与を受けるため米政界から非難を浴びているが、CATLは世界最大手のEV用バッテリーメーカーであり、フォードに選択の余地はなかった。新制度も暗黙でこうしたアプローチを認めている」と伝えた。

ワシントンに本部を置くリサーチ会社クリアビュー・エナジー(ClearView Energy Partners)は最新レポートで、「新たなガイドラインは、複数のレベルを通じて所有権を効果的に希薄化する余地が残されている」と報告している。記事は「中国国外にある工場は最終的に中国の親会社にさかのぼることができるが、親会社との『分離の程度』を証明できれば、税控除の対象となる部品や鉱物資源を提供できることを意味している」と説明。「FEOCの規定にはこうした曖昧さが存在するものの、仮に法廷闘争や今後の選挙を乗り切ったとしても、いくつかのハードルが生じるだろう。CATLのバッテリーを積むテスラの安価なモデルは、フォードの現行モデルの一つと同様に税控除の対象外になるだろう」と予想した。

また、このほかにもあまり明らかになっていない影響があると指摘し、「中国のリチウム加工メーカーは、オーストラリアの鉱山へ継続して資金を提供している。オーストラリアと米国はFTA締結国であるが、中国メーカーによる鉱山への融資が縮小されなければ、この鉱山から採掘されるリチウムを使ったEVは、税控除の一部を受けられなくなるだろう。一方FEOCの規定は、米国内に出現した重要な新興鉱山プロジェクトを明確に後押している」と伝えた。

記事は、こうした表に現れる現象の下には米国が必要とするもの、ワシントンでは実に稀有なもの―謙虚さが潜んでいると指摘する。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIC)のシニア・リサーチャー、ジェーン・ナカノ氏は、「太陽光パネルの製造とは異なり、これまで米国内でEV用バッテリー産業が存在したことはないため、バッテリー問題は『リショアリング』ではなく『オンショアリング』だ」と指摘。「米国議会の不満を招く恐れはあるが、米国が中国からしっかり学ぶべき産業であることは確実だ。米国が国内でEV用バッテリー産業を成功させたければ、この点をよく認識して実践する必要がある」との見解を示した。(翻訳・編集/榊原)