中国メディアの環球時報によると、中東の衛星テレビ局アルジャジーラはこのほど、中国と日本がカンボジアの366億ドル(約5兆6730億円)のインフラ整備をめぐり争うとする記事を配信した。

記事はまず、「カンボジアはインフラ整備を推し進めているが、366億ドルと推計されるその計画は、海外の友人らの助けがあって初めて実現できるだろう。これはカンボジア政府が10年という期間内で国の交通と物流ネットワークを徹底的に見直す174のプロジェクトからなるマスタープランの中で今年初めに発表された最終的な金額だ」と伝えた。

記事によると、カンボジアの政府と民間企業は、同国のインフラ整備に資金を提供しているが、その投資の多くを占めているのが中国と日本だ。両国はカンボジアの外交上の最高位である「包括的戦略的パートナーシップ」を保持している国でもある。

これまでのところ、中国の「一帯一路」構想は、首都プノンペンから沿岸都市シアヌークビルまでを結ぶ同国初の高速道路などの主要プロジェクトでインフラ整備を主導してきた。

一方、日本は独自の歩みを維持し、新しい下水処理施設や既存の道路の改良などのさまざまなプロジェクトに焦点を当てている。東京大学の研究者、柴崎隆一氏によると、「中国の(インフラ)投資額と比較すると、日本の投資額はとても限られている。中国からの投資がとても多いため、隙間を埋めるか、投資をより広い視点に合わせて調整するため、ニッチな市場を見つけなければならない」という。

中国政府は近年、メガプロジェクトへの投資に背を向け、優良なプロジェクトへの投資指向の傾斜を支持している。これらの資金は通常、「建設・運営・移転」契約によって提供され、作業を監督する企業が、あらかじめ決められた期間にわたって完成したプロジェクトによって生み出される収益と引き換えに開発費用を負担する。協定が終了すると、所有権は開催国の政府に移管される。カンボジアの大局的なビジョンの重要な部分は、その種の資金調達に依存することになる。

カンボジアのインフラ基本計画には、九つのメガプロジェクトの案が含まれている。それらのほとんどはまだ実現可能性について研究中の段階だが、日本の国際協力機構(JICA)、または中国交通建設集団傘下の中国路橋工程(CRBC)がほとんどすべてに接触している。CRBCは昨年、プノンペンとベトナムとの国境都市バベット間の2番目の高速道路の起工を果たしたが、これは計画されている九つのメガプロジェクトの一つだ。

シンガポールに本拠を置く海運代理店ベン・ライン・インテグレーテッド・ロジスティクスのプノンペン事務所のプロジェクト開発責任者、マシュー・オーウェン氏は、「誰もが影響力を持ち、誰もが得るものを持っている。これは競争ではなく、カンボジアの親友になろうとする国々のたまり場のようなものだ。カンボジアは、同国をより良くすることに前向きな国であればどの国に対してもオープンだ。誰が最大の橋を架けるかという独自の競争をしたいのであれば、それに参加すればいい」と語る。(翻訳・編集/柳川)