焦点:米中摩擦の影響、地方企業の現場に波及 回復の兆し見えず

焦点:米中摩擦の影響、地方企業の現場に波及 回復の兆し見えず

[東京 26日 ロイター] - 貿易協議を巡る米中対立が日本企業の経営マインドを冷やしている。外需の低迷は地方企業に減産対応を迫り、依然として回復の兆しは見通せない。

中国が「くしゃみ」をすれば風邪を引く――。長引く米中交渉は結論を得るまでの曲折も予想され、戦後最長の景気回復とする政府の主張とは裏腹に、現場からは悲鳴の声が上がっている。

高精度を誇るプレス金型メーカー、南雲製作所は日本海沿いの新潟県上越市に広大な製造拠点を持つ。4000平方メートル(4万3000平方フィート)、「こだわりの金型で、明日を変える」をスローガンに、約100人の従業員が組み立て作業を続けている。

顧客は、デンソー<6902.T>やアイシン精機<7259.T>など系列を超えた大手。ただ、昨年末に受注額が急減し、なお厳しい現実に直面していると同社の米桝(こめます)弘社長は言う。

「昨年11月から受注が減少している。取引先の多くは自動車部品メーカーだが、受注に急ブレーキが掛かった」――。

米桝氏は「中国がくしゃみをすると日本は風邪をひくと言われるが、『米中貿易戦争』が私たちのような小さな会社にも影響を及ぼしていると、強く感じている」と述べ、減産後の回復も見通せず、今春闘での賃上げが難しいと胸の内を明かす。

世界第2位の経済大国としての地位を築いた中国。日本企業にとっては有力な輸出先の1つだけに、その影響は小さくない。

自動車用半導体メーカーのルネサス・エレクトロニクス<6723.T>は一部工場での生産を最長2カ月間停止すると発表した。安川電機<6506.T>やファナック<6954.T>、三菱電機<6503.T>、三井物産<8031.T>、トイレ大手のTOTO<5332.T>などは業績予想の下方修正に追い込まれている。

米中の貿易協議を巡っては「完全には解決しないだろう。世界経済が一段と減速する中で、日本の輸出産業や製造業に下押しの圧力がかかり続ける」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト、西濱徹氏)との見方が多い。

伊藤忠経済研究所・チーフエコノミストの武田淳氏の見方は、さらに厳しい。中国の減速が日本企業に与える影響は今後数カ月続くとし「日本の輸出・製造業にとって、4─6月期が最悪の時期になる可能性がある」と指摘する。

<3月期決算なら赤字>

政府は、20日の月例経済報告に関する関係閣僚会議で、景気の総括判断を2016年3月以来、3年ぶりに引き下げた。中国経済の減速で輸出の伸びが鈍化し、企業の生産活動に弱さがみられる現状を反映させた。

一方、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費や設備投資は堅調とし「緩やかに回復している」としてきた基調判断は、今回も維持した。

戦後最長の景気回復が続いている可能性について、内閣府幹部は「(今回の月例判断で)途切れたとは考えていない」としている。

ただ、日本を代表するトヨタ自動車<7203.T>やパナソニック<6752.T>などが今春闘で賃上げ幅を縮小し、内需の柱となる消費が今後も好調を維持できるかは見通せない。

南雲製作所の米桝社長は、具体的な取引先は明らかにしなかったものの、ある取引先からは注文が半減したという。

「営業努力で新規顧客を獲得し、何とか収支尻りを合わせることができた」と、同社の渡部賢一総務部長は言う。

財務省の貿易統計によると、昨年の日本の輸出の約38%は電子部品や半導体製造装置、その他製品の製造に使用される重機などが占め、次いで、自動車等輸送用機械が約23%。

米桝社長は言う。「(12月期決算の)18年は黒字を維持したが、3月期決算だったら赤字に転落していたかもしれない」──。

(梶本哲史、スタンレー・ホワイト 翻訳編集:山口貴也)


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