イールドカーブのフラット化注視、変動幅「厳格ではない」=日銀総裁

イールドカーブのフラット化注視、変動幅「厳格ではない」=日銀総裁

[東京 20日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は20日、金融政策決定会合後の会見で、長期金利がマイナス圏で低下基調にあることについて「現状ややフラット化が進んでいることについては注視している」と述べ、必要があれば、適切に対応する方針を示した。

一方で、0%を中心に上下0.2%としている長期金利のレンジについては、過度に厳格にとらえることなく、ある程度弾力的に対応するものであると述べた。

<長期金利変動幅、過度に厳格にとらえる必要なし>

黒田総裁の会見が行われている時間にも長期金利の低下は止まらず、一時マイナス0.185%まで低下した。日銀は0%を中心に上下0.2%程度の変動を容認しているが、こうした変動幅について総裁は「金利形成の柔軟性を高めることを通じて強力な金融緩和による市場機能への影響を軽減し、現在の政策枠組みの持続性を強化することが狙い」と説明。その上で「金利変動の具体的な範囲を過度に厳格にとらえる必要はない。ある程度弾力的に対応していくことが適当」と述べた。

ただ「現状やや(イールドカーブの)フラット化が進んでいることについては注視している」とも述べ、「適切なイールドカーブを実現するという長短金利操作付き量的・質的緩和の趣旨に沿って、必要があれば適切に対応していきたい」とした。また、超長期金利が過度に低下することによる運用利回りの低下にも「留意が必要」と指摘した。

<YCCは長期金利の上昇抑制、ポリシーミックスになり得る>

政府が景気対策で歳出を増やす場合、日銀として何か協力するかという質問に対して、総裁は「政府と中銀で政策の協調を行うことは日銀法にも書いてある。何も問題はない」とした。また、政府が国債を増発して歳出を増やしても「イールドカーブ・コントロールの下で金利が上がらないようにしている。インプリシット(implicit)に、そういう事態には協調的な行動が取られる形になっている」と述べた。

総裁は、現行の緩和政策は「あくまで金融政策として行っていることは間違いない。財政ファイナンスを助ける趣旨ではないことは事実」と強調しながらも、「現在のイールドカーブ・コントロールを維持する必要性があり、それをしている際に、仮に国債増発で長期金利が上がるということは防止される、という意味で結果的に、財政金融政策の協調、ポリシーミックスになり得る」と述べた。 

<物価の勢い損なわれれば、ちゅうちょなく金融緩和を検討>

ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁がインフレ目標の達成が危ぶまれる状況となれば「追加金融緩和が必要」と発言したことに加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)は19日、金融政策の据え置きを決めたものの声明文では、景気拡大のため「適切な行動を取る」とし、今後の利下げへ柔軟な姿勢を示した。

欧米が金融緩和的な姿勢を示していることについて、黒田総裁は「主要国の金融政策運営が国際金融市場や世界経済に影響を及ぼす可能性は十分にある」と指摘。その上で「こうした点も注意深く確認しながら経済・物価・金融情勢を踏まえて、毎回の決定会合で適切な金融政策運営を行う方針」と述べた。

さらには「物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるような状況になればちゅうちょなく追加緩和を検討していくことになる」と、従来からの姿勢を繰り返した。

追加緩和の手段としては、短期政策金利の引き下げ、長期金利目標の引き下げ、資産買い入れ拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速などが考えられるとし「これらを組み合わせて対応することも含め、時々の状況に応じて適切な方法を検討していくことに変わりない」と述べた。その際には「効果と副作用のバランスを取って、ネットで最も効果がある措置を取ることになる」とした。

日銀はこれまでも政策のベネフィットとコストを比較考量しながら適切に対応しているし「これからもそういう対応は可能」と自信を示した。

世界経済については「今年後半から世界経済は成長を加速していくというメインシナリオは変わってない」と述べた。米中貿易摩擦などリスクが高まっているのは事実だとしながらも「メインシナリオが狂ってきて、世界経済が今の時点で回復しないとか、不況に陥る恐れがあるとか、そういうことではない」との見方を示した。

*情報を追加しました。

(清水律子 伊藤純夫 編集:田中志保)


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