平田紀之

[東京 15日 ロイター] - トヨタ自動車の株価が初めて1万円に乗せた。5月18日に上場来高値を更新して約1カ月で大台を突破した。株式分割など需給面での材料もあるが、電気自動車(EV)に本腰を入れて取り組む姿勢をみせたことが市場の評価を高めている。

転機となったのは、4月の上海モーターショーだとみられている。トヨタは2025年までに電気自動車(EV)15車種を投入すると発表。このうち、7車種は新たに立ち上げるEV専用ブランドのモデルとするほどの力の入れようを示した。

トヨタの株価は、今年3月以降、ややもたついていたが、5月に入ると上昇基調に転じ、6月にかけて上昇スピードを加速させた。5月の決算発表で1対5の株式分割を発表したこともあるが、足元で電動化路線を明確に打ち出したことが好感されているという。

「世界の自動車メーカー株は、EVへの力の入れ具合に呼応する形で買われてきた」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは話す。日本車メーカー株に対するEV強化期待の資金流入は、欧州メーカーに比べ「始まったばかり」と、藤戸氏はみる。

マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも、トヨタ株にはさらなる上昇余地があると指摘する。「日本株は新型コロナワクチンの遅れが懸念され出遅れていたが、自動車メーカーの主戦場は米国や中国だ。今後、グローバル企業に見直し買いが入る余地は大きい」という。

トヨタ株は時価総額が約32兆円で国内最大。海外勢が日本株を組み入れる際、真っ先に買われる銘柄の1つだとみられている。1万円の大台をつけたことで、いったんは利益確定売りが出やすいが、足元の予想PER(株価収益率)は11倍台。マネックス証券の広木氏は「少なくとも2割程度の株価上昇の余地はありそうだ」との見方を示している。

証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長は、ソニー(現ソニーグループ)が昨年末に1万円を超え、市場の雰囲気が高まる中で2月に日経平均がバブル後高値をつけた経緯があるとし、「今度はトヨタが先導役になるかもしれない」と話している。

(平田紀之 編集:伊賀大記)