[豊田市(愛知県) 16日 ロイター] - トヨタ自動車は16日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開いた。豊田章男社長は就任後の12年間を振り返り、米国でのリコール問題や東日本大震災など「大きな危機にひとつひとつ対処してきた。この危機があったからこそ生き抜くことができた」と語った。

同社の株価は前日に1万円を初めて突破、この日は2日連続で上場来高値を更新した。豊田社長は、総会前日の1万円乗せは「偶然だったかもしれないが、総会に臨むにあたり株主の皆さまと対話できるよう背中を押されたような気がしている」と述べた。さらに「これからも現場に一番近い社長として幸せの量産というミッションの下、皆で心を1つにすれば未来は必ず変えられることを行動で示す」などと表明、言葉を詰まらせる場面もあった。

株主からは脱炭素への取り組みや電動車戦略についての質問が相次いだ。投資負担の点から、電気自動車(EV)、ハイブリッド車、燃料電池車、水素エンジン車と電動車の選択肢を増やす全方位戦略を心配する声も出た。

前田昌彦最高技術責任者は「EVのいまの技術では利便性が高くないと思う顧客もいる」と語り、全方位戦略は顧客の要望を汲んだ結果と説明。寺師茂樹エグゼクティブ・フェローも、新技術も今後生まれるとし、いずれは「一番良いものが残るという考え方」と理解を求めた。

米中対立激化による輸出規制や不買運動などを懸念して対策を聞く質問も出た。北米の最高営責任者(CEO)である小川哲男氏は「大変難しい状況だが、よく注視しながら、各地域で必要とされる町一番の存在でありたいという思いを絶やさず、事業を継続していく」と述べた。

中国のCEOである上田達郎氏は「トヨタの環境技術を使い、中国のさまざまな環境課題の役に立ちたい」と話し、今後なにか起きても、顧客や中国政府から「トヨタがしっかりと中国に役に立っていると思ってもらえるような活動を一生懸命やる」と語った。現地生産の車両は部品の8割以上を現地で調達していることも紹介した。

総会では取締役9人選任など会社提案の3議案を可決した。今年も前年同様、新型コロナウイルス対策として株主に来場自粛を要請。出席株主数は383人と前年からは22人増えたが、5500人以上が出席したコロナ前の19年と比べると10分の1以下だった。