[上海 23日 ロイター] - 中国の景気減速と融資需要低迷を背景にリスクの低い銀行引受手形の買いが膨らんでおり、利回りがゼロに近づいている。銀行が行内の融資目標達成を目指して、お化粧買いを入れていることが背景だ。

上海手形交換所のデータによると、1カ月物手形利回りは平均1%未満。上海のロックダウン(都市封鎖)が始まった3月下旬以降は0.04%まで低下した。

1─3月の平均は2.07%。銀行間金利の2%前後も大幅に下回っている。

背景には銀行の手形保有を短期融資とみなすとした中国規制当局の方針転換がある。ANZの大中華圏担当チーフエコノミストによると、「これにより銀行引受手形を買うことで融資残高に『お化粧』を施し、融資目標を達成することが可能になった」。

こうした規制の抜け穴で手形市場の金利はゆがんでおり、裁定取引の活発化や金融政策の効果低下というリスクが浮上している。

ある国有銀行の融資担当者は、上海のロックダウンで中国経済の見通しが一段と悪化しているため、1日平均や前月比ベースの増加率といった融資目標の達成が難しくなっていると指摘。

「民間企業向けの融資目標は特に達成が難しい。一体それほど多くの優良プロジェクトが見つかるだろうか。目標を達成するには、利回りは低いが、手形を買うしかない」と述べた。

手形融資は4月の企業向け新規融資の大半に寄与したが、新規融資全体は前月比で約80%減少し、約4年半ぶりの低水準となった。

<融資需要の低迷>

モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミストによると、当局は打撃を受けたセクターを支援し、融資を奨励するため、対策を講じているが、ロックダウンで緩和の効果が鈍り、供給よりも融資需要が抑制されている。

「新型コロナのない通常の年であれば、3─6カ月で緩和措置の効果が力強く明確に幅広い活動に波及するが、今年はロックダウンで波及に要する時間が長期化する」見通しという。

手形利回りは、過去にも四半期末や年末に低下することが多かったが、期末を過ぎれば急上昇していた。だが、ここ1カ月は超低利回りが続いている。

融資目標を達成するために手形を購入する動きが広がっていることについては、市場関係者から批判が出ている。

上海手形交換所の幹部は、こうした取引が手形市場のボラティリティーの主因になっており、同種の資産との間に断絶が生じていると指摘。

浙商銀行の幹部も、流通市場で手形を購入しても実体経済に資金を供給したことにはならないため、こうした取引の是正が必要だと指摘している。