Nobuhiro Kubo

[東京 22日 ロイター] - 1970年代からアナリストやストラテジストとして金融市場を見てきた武者リサーチの武者陵司代表は、今の日本株は過剰評価されていたバブル期と異なりなお割安だとし、年内に日経平均5万円が視野に入るとの見通しを示した。

    大和証券、ドイツ証券で企業分析をしていた武者氏は、米中対立という地政学の変化が日本株上昇の起点になったと指摘。米国が中国との「デカップリング」を模索していたところに円安が進み、半導体産業を中心に受け皿としての日本の重要性が高まったと説明した。

    半導体受託最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に工場を建設し、韓国サムスン電子も半導体の研究拠点を神奈川県に新設することを決め、日本の官民が立ち上げたラピダスの最先端半導体の量産計画は米IBMなどが支援をする。武者氏は「産業力から見て中国の生産を代替できる国は日本しかなく、80年代から90年代に空洞化が進んだこの国に再び産業が集積しつつある」と語った。

    武者氏は、1990年に最高値をつけたバブル期の株価は大幅に割高だったと分析。株式益回り2%に対し、長期金利が8%で「高い利息で借金してでも株を買うというおかしな状態。異常だった」と述べた。

    一方、現在は株式益回り7%に対して金利は0.8%で、「かなり割安な状況にある」と語り、日経平均は年内に5万円程度まで上昇する可能性があるとした。

    長期に低迷していた日本企業が超円高の中で変革し、稼ぐ力をつけたことも日本株に資金が流入している要因として挙げた。リクルートホールディングスやソニーグループ、HOYA、ソフトバンクグループなどは代表例だとし、ソフトで稼ぐ独自のビジネスモデルを作り上げたと指摘。「今の円安の環境下ならものすごい企業が続出するだろう」と述べた。

    11月の米大統領選を不透明要因とみる向きもあるが、武者氏は米中対立の構図は変わらないとし、日本株のリスクにはならないとした。

(久保信博 編集:石田仁志)