Saqib Iqbal Ahmed

[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米国株が最高値を更新し、暗号資産(仮想通貨)のビットコインも上昇。投資家はポートフォリオの下落に対する備えをそれほど気にかけていない。経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっていることを示す最近の経済指標が市場参加者のリスク志向を刺激しているためだ。

15日の米株市場では、S&P総合500種とナスダック総合がともに1%超上昇し、終値ベースの過去最高値を更新して取引を終えた。米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化を受け、米連邦準備理事会(FRB)の利下げに対する期待が高まった。

リスク選好のバロメーターと見なされるビットコインやミーム株などの資産も上昇した。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)の資産運用会社月次調査によると、投資家は2021年11月以降で最も強気になっている。利下げ期待が後押ししているという。

多くの投資家は下値ヘッジにほとんど注意を払わず、株高の流れに乗ろうとしているようだ。市場変動へのプロテクション需要を測るCboeボラティリティー・インデックス(VIX指数)は15日に4カ月ぶりの低水準で取引を終えた。投資家がVIX指数の動きをどの程度予想しているかを示すVVIX指数も低下し、約10年ぶりの低水準付近となっている。

相場の下落に備えるオプション取引の買い手は少ないが、株式市場のさらなる上昇で利益を得るコールオプションは需要が高い。

オプション分析会社トレード・アラートのデータによると、コールの1日当たり取引高は1カ月平均でプットを1.2対1で上回っており、過去約1カ月で最も強気だ。

米利下げ期待が最近のドルを圧迫。そのため新興国通貨が上昇している。

ポーランドズロチが月間で3.7%上昇。南アフリカランドは2.8%、コロンビアペソは2.7%それぞれ上昇した。  

債券市場のボラティリティー期待もこのところ低下。米国債利回りは15日、約5週間ぶりの低水準となった。