Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米国株は17日、インフレ鈍化の兆しを好感し、3つの主要株価指数がそろって過去最高値を更新した。経験則を踏まえるなら、現在のように下落局面から反発した市場はさらに上昇する余地がありそうだ。

S&P500種総合指数は4月に4%余り下落したが、現在は年初来11%高まで持ち直している。

過去の傾向を分析しているストラテジストによると、この程度の調整局面から回復した相場はその勢いを持続し、多くの場合は下落分を取り戻した後も上昇を続ける傾向がある。

2009年にさかのぼってデータを分析しているトゥルイスト・アドバイザリー・サービシズの共同最高投資責任者、キース・ラーナー氏によると、S&P500が過去に5%安から戻した際、その後の上昇率の中央値は17.4%となっている。これに対し、S&Pは17日現在、4月の安値から約7%上昇している。

ラーナー氏によるとまた、1950年代以来、強気相場における上昇率の中央値は108%だが、2022年10月から始まったS&Pの上昇は約50%で、なお上昇余地がありそうだ。

さらには、強気相場の持続期間の中央値は4年半なのに対し、現在の上昇相場が始まってからまだ1年半しかたっていない。

投資家は、米経済がいわゆるソフトランディングに向かっているとの楽観論と、力強い企業業績見通しが相場の一段高を支えるとみている。

上昇相場の勢いが続くかどうかは、米半導体大手エヌビディアによる22日の四半期決算発表によって試されそうだ。20日の週に発表される耐久財受注と消費者信頼感指数も注視される。

<勝ち馬に乗れ>

CFRAの最高投資ストラテジスト、サム・ストボール氏は、個々のセクターにおいても、今後の相場動向の鍵を握るのはモメンタム(相場の勢い)だと言う。

1990年以来35回の相場反発局面を研究した同氏によると、S&Pの反発をリードしたセクターが、その後も指数全体をアウトパフォームした確率は68%。つまり「下落局面から反発した後は、勝ち馬に乗れ」ということだという。

現在のS&P500種の反発局面では、情報技術、公益、不動産の各指数がそれぞれ11.3%高、10.1%高、7.9%高と、上昇率トップ3を占めている。

また、ウィスコンシン・ルセラン・カレッジの経営学教授、ウィリー・デルウィッチェ氏によると、S&P500種を構成する11のセクターは現在、全て200日移動平均を上回っている。少なくとも9つのセクターが同平均を上回っている場合、S&P500種のその後の年率リターンは平均13.5%だったという。

もちろん、相場を上昇軌道から外しかねない要因は山ほどある。最近の経済指標は消費者物価と労働市場の落ち着きを示しているが、この基調が続かないようなら米連邦準備理事会(FRB)が高金利を維持する、もしくは再び利上げを行うといった懸念が再燃しかねない。

また、非常に割高になっている銘柄も多い。LSEGデータストリームによると、S&P500種の予想利益に基づく株価収益率(PER)は20.8倍と、過去平均の15.7倍を大幅に上回っている。

米大統領選や中東とウクライナの戦争など、地政学的な不確実性が相場を不安定化させる恐れもある。