Huw Jones

[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)金融行政委員会のランドール・クロズナー委員は21日、人工知能(AI)は基本的に破壊的だが、英経済の生産性を高める可能性があると指摘、規制作りでは新しいアプローチを受け入れる必要があると述べた。

クロズナー氏は、金融の安定維持という目標と、イノベーションの実現などを通じた経済成長の支援という目標をどのように両立させるべきかという課題に言及。

「創造性とイノベーションの開花を促しつつ、潜在的な金融安定リスクを踏まえた規制の枠組みを構築することが課題になる」とし「こうした枠組みの構築につながり得る新たなアプローチに対して規制当局はオープンであるべきだ」と述べた。

イノベーションが破壊的な場合、金融の安定を実現するためにどのような規制が適切か判断が難しくなるとし「イノベーションがもたらすとみられる影響や、規制がもたらす(意図した、あるいは意図せざる)結果を判断する共通の枠組みが存在しない可能性がある」との認識を示した。

英中銀の新しい「デジタル証券サンドボックス」制度では、企業が規制監督下で新たな技術をテストできるが、チャットGPTをはじめとするAIツールのようなイノベーションは非常に急速に発展する可能性があり、「そのような状況ではサンドボックス・アプローチを適用できない可能性があり、破壊的変化に直面した政策当局者自身がさらにイノベーションを起こす必要があるかもしれない」と指摘した。