Mariko Sakaguchi Noriyuki Hirata Brigid Riley

[東京 22日 ロイター] - 東京円債市場で22日、新発10年国債利回り(長期金利)が1.00%に上昇し、2013年5月以来の高水準を付けた。日銀の国債買い入れ減額や早期追加利上げ観測を背景に、金利上昇圧力が強まった。きょうの40年債入札が弱めの結果となったことも、債券売りの口実となった。

金利上昇の背景にあるのは、「日銀の早期の正常化が進むとの観測だ」とニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは指摘する。5月中旬以降、米金利が低下する中で国内金利は上昇している。早期の追加利上げ観測が根強い上、市場では、遠からず日銀が債券保有額の圧縮に動くとの見方がくすぶっている。

政策金利の織り込みを反映するOIS金利と比較しても、JGB金利がより上昇しているとして「需給の影響で金利上昇圧力がかかっている面が大きい」と三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストはみている。超長期ゾーンが先行して金利上昇していることは「財政面の不安も反映しているのではないか」(稲留氏)との見方もある。

先行きに対する市場の見方は割れている。「(利回りが)1%に乗せてくると投資妙味が高まることで買いも入りやすくなる」とニッセイ基礎研の上野氏はみており、急速な一段の大幅上昇は見込んでいないと話している。三井住友トラストの稲留氏は、長期金利は1%に定着しないとみている。需給不安が大きく出過ぎている面があり「日銀による国債買い入れ減額の方針が見えてくれば、徐々に落ち着いてくだろう」という。

一方、SBI証券のチーフ債券ストラテジスト、道家映二氏は、円安の流れの中で基調的な物価上昇率が上振れるリスクがでてくれば、日銀は利上げで対応するとみており、「6月もしくは7月の追加利上げが現実味を帯びれば、市場は年内2回の利上げを織り込みにいく」とみる。

日銀は2026年度までの見通し期間の後半にかけて、1%近辺と見積もられる中立金利近くまで短期の金利を引き上げることを念頭に置いているとして「こうしたシナリオが実現するなら、長期金利の1%はあくまでも通過点に過ぎないだろう」と、アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは指摘している。