[ロンドン 22日 ロイター] - 英国の新年度最初の月である4月の財政収支は、予想を上回る赤字だった。選挙を控え、スナク政権に減税などの余地が限られていることを示した。

国立統計局(ONS)が22日発表した4月の公的部門純借入額(財政赤字)は国有銀行を除いたベースで205億ポンド(260億5000万ドル)。ロイターがまとめたエコノミスト予想中央値および予算責任局(OBR)の予想(193億ポンド)を上回った。

4月末時点の国内総生産(GDP)に対する比率は97.9%で、前年同月を2.5%ポイント上回り、1960年代初頭以来の水準となった。

歳入が前年比16億ポンド増加する一方で、歳出も31億ポンド増加した。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アレックス・カー氏は、4月のデータは大型減税の実現可能性を一段と疑問視させると指摘した。

国際通貨基金(IMF)は21日に公表した英経済に関する年次報告書で、総選挙前に減税すべきでないとの見解を示した。

ONSは昨年度(2023年4月─24年3月)の財政赤字額(見込み)を1214億ポンド(GDP比4.5%)とし、先月の1207億ポンド(同4.4%)から小幅上方修正した。

これは政府の財政計画に基づくOBRの予想を73億ポンド上回る。今年度については872億ポンド(対GDP比3.1%)に縮小すると予想している。

3月にハント財務相が公表した予算案では、政府の財政目標をわずか89億ポンドの差で達成した。しかし、政府はその後、対GDP比2.5%相当への国防費増額計画や、エイズウイルス(HIV)や肝炎ウイルスの混入した血液製剤による薬害への補償措置を発表しており、厳しい財政運営を迫られるとみられる。