Kentaro Sugiyama

[東京 28日 ロイター] - 政府が28日発表した5月の雇用関連指標は、完全失業率が季節調整値で2.6%と、4カ月連続で横ばいだった。企業の人手不足感と、より良い条件を求める人の転職・求職活動により、失業率は低位安定している。有効求人倍率は1.24倍で前月から0.02ポイント低下した。

ロイターの事前予測調査で完全失業率は2.6%、有効求人倍率は1.26倍と見込まれていた。

総務省によると、5月の就業者数は季節調整値で6761万人と、前月に比べて10万人増加。完全失業者数は、前月に比べて1万人減少し182万人となった。同省の担当者は、自己都合で自発的に離職した人が減少した一方、就業者数が増えていることから「より良い条件を求めていったん離職した人が自分の希望通りの仕事にたどりついたと言えるのではないか」との見方を示している。

正規の職員・従業員数(実数)は3675万人、このうち女性が1314万人だった。いずれも比較可能な2013年1月以降で過去最多。担当者によると、女性では製造業や教育・学習支援業などで増加がみられるという。

先行きについては「企業の人手不足感の強さを背景に失業率が継続して悪化する可能性は低い」(大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏)との指摘が出ている。

<卸売業・小売業で大口求人>

厚生労働省によると、5月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.1%増となった。卸売業・小売業から大口の求人が出た一方、製造業や建設業などは引き続き原材料や光熱費の高騰によるコスト増の影響で求人を手控える動きがある。

有効求職者数(同)は1.9%増。足元では物価高を背景に、より良い処遇や環境を求めて転職を希望する傾向がみられるという。

有効求人倍率は、仕事を探している求職者1人当たり企業から何件の求人があるかを示す。今回は有効求人数、有効求職者数ともに増加する中で、求職者数の増加がより大きかったことから倍率が低下した。