[キーウ(キエフ) 4日 ロイター] - ウクライナ軍は4日、ロシア軍が東部ルガンスク州全域を制圧したと発表したことを受け、戦争の次の段階に備え、東部に新たな防衛線を整えた。戦争の被害が拡大する中、ウクライナのシュミハリ首相はスイスで開催されたウクライナ復興を巡る国際会議で、復興費用をロシアの富裕層に負担させるべきだとの見解を示した。

<ロシア、ルガンスク州全域掌握>

ロシアは3日、ウクライナ側の最後の拠点となっていたリシチャンスクを掌握し、ルガンスク州全域を制圧したと発表。ウクライナ軍司令部は、兵士の命を守るためリシチャンスクから撤退したと説明。ゼレンスキー大統領もビデオ演説で撤退を認めた。ただが「戦術と近代的な武器の供給増によって、われわれは戻ってくる」と強調した。

ルガンスク州のガイダイ知事は4日、ロイターのインタビューに応じ、ロシア軍はルガンスク州の掌握後は隣接するドネツク州の完全制圧に焦点を移すと予想。「(リシチャンスクを失ったことは)致命的ではない。リシチャンスクの戦いではなく、この戦争に勝つ必要がある。受けたダメージは大きいが、戦争に負けたのではない」と語った。

ロシアにとって、リシチャンスク制圧は5月終盤の南東部の港湾都市マリウポリ制圧以降で最大の勝利。ロシア軍とウクライナ軍は共に、ルガンスク州とドネツク州を流れるシベルスキードネツ川の流域で数千人の死者と負傷者を出したとみられている。

軍事専門家はリシチャンスク周辺での戦いについて、戦争で廃墟となった都市の戦略的な価値は薄いものの、ロシア軍とウクライナ軍双方の戦闘継続能力が大きな影響を受けるため、戦争全体の転換点になると予想。

ロンドンのシンクタンク、RUSIのニール・メルビン氏は、リシチャンスクの戦いを第一次世界大戦の特徴であるわずかな領土獲得のための大規模な戦闘になぞらえ、「ロシアは戦術的な勝利を収めたが、甚大な犠牲を払った」と指摘。「ロシアは何らかの勝利を宣言するかもしれないが、肝心の戦いはまだこれからだ」と述べた。

その上で、ウクライナを巡る決定的な戦闘はロシアが主眼を置く東部ではなく、ウクライナが領土奪還に向け反撃を開始した南部で行われる可能性が高いと指摘。「(南部)ヘルソン周辺ではウクライナ軍が前進しており、反撃が始まっている。ロシア軍を押し返すために大規模な攻勢をかけており、ウクライナ軍に勢いが移る可能性がある」と述べた。

<ウクライナ復興会議>

この日は、スイスのルガーノでウクライナ復興を巡る国際会議が開催された。ウクライナのシュミハリ首相は、ロシアの侵攻に伴うウクライナの復興費用が7500億ドル規模に達する可能性があるとし、ロシアおよびロシアの新興財閥(オリガルヒ)の凍結資産が復興に向けた主要な資金源になると確信している」と語った。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、EUが復興努力を調整するためのプラットフォームを新設するほか、ウクライナのEU加盟候補としての地位を確固たるものとすることを支援すると表明。オンラインで会議に参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、同国復興を支援する取り組みを歓迎し「人を人たらしめているものを回復させる」と述べた。

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