[北京/ワシントン 6日 ロイター] - 米軍は5日、東部サウスカロライナ州沖で前日に撃墜した中国の偵察気球の回収作業を進めていると発表した。一方、中国は6日、緊張を激化させたり、中国の国益を一段と損ねたりする行為を控えるよう米国に求めた。

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)・北方軍のバンハーク司令官は声明で「米海軍要員が現在、回収作業を実施しており、沿岸警備隊が作業場所の確保と安全の維持を支援している」とした。

偵察気球の残骸を回収できれば中国の情報収集能力について見識を深めるのに役立つ可能性があるが、米政府の当局者らは国家安全保障への影響は限定的との認識を示している。

偵察気球は米戦闘機がミサイルを発射して撃ち落とした。バンハーク司令官は米領海内で撃墜したと述べた。

中国は撃墜について、「過剰反応」だと反発した。

中国外務省の謝鋒次官は在中国米国大使館に対し「(気球撃墜に)中国は断固として反対し、強く抗議する」と表明。「中国政府は状況の推移を注意深く見守っている」と述べた。同省が6日にウェブサイトで明らかにした。

気球を巡る問題は、米中が対話を強化し、中国による重要先端技術の入手を阻止する米国の取り組みなど複数の分野で近年悪化していた関係の修復に乗り出そうとした矢先に起きた。

中国は撃墜による「深刻な影響」を警告し、「同様の状況」への対応で必要な措置を講じると表明した。詳細には触れなかった。一部のアナリストは、中国の対応は両国間関係の一層の悪化を避けるため微妙に調整されたものになるとみている。

INGは6日のノートで、この問題が米中の「テック戦争」を激化させ、短期的に人民元にマイナス影響を及ぼすと指摘。「双方が異なる産業で技術輸出をさらに禁止する可能性が高い。新型コロナウイルス規制による物流混乱リスクは解消されたが、この問題がサプライチェーンへの新たな脅威だ」とした。

RIA通信によると、ロシアのリャブコフ外務次官は6日、中国がこの件で責任ある行動を取ると確信していると述べた。