[ワシントン 8日 ロイター] - 米国防総省は8日、これまでに米領空に侵入した中国の偵察気球4つが、中国政府が関心を持つと思われる場所の上空を通過していたと明らかにした。ただ、こうした偵察気球が米軍基地の上空を通過したかについては明言しなかった。

ブリンケン国務長官は北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長との共同記者会見で、4日に米軍がサウスカロライナ州沖で撃墜した中国の偵察気球について「ほぼ刻々と」情報を入手しているとし、米政府は関連する調査結果を議会や世界中の同盟国と共有すると表明。この偵察気球の飛来は「5大陸にまたがる国々の主権を侵害」する広範な計画の一部だったため、すでに数十カ国と情報が共有されていると述べた。

その上で、ストルテンベルグ事務総長と「同盟とより広範な国際システムに対し中国がもたらす体系的、戦術的な課題」について協議したと述べた。

ストルテンベルグ氏は、中国は新たな軍事力に多額の投資を実施していると指摘。「欧州における中国の諜報活動の活発化も見られる。人工衛星、サイバー、そして米国で見られたように気球など、中国はさまざまなプラットフォームを利用している。このため、われわれは警戒しなければならない」とし、「中国の諜報活動のリスクを常に認識し、自らを守るための行動を強化しなくてはならない」と述べた。

また国防総省報道官は、今回の中国の偵察気球の前に米政府は4回の偵察気球の飛来を認識していたとし、中国が関心を持つと思われる場所の上空を飛行していたと明らかにした。