XJ1100のショーモデルをリリース後に、フルカウルXJ650 Turbo登場!

1981年の東京モーターショーは、各メーカーからターボ過給のバイクがこぞって展示され、時代はターボ化の波に包まれるといった気運に満ちていた。 ヤマハはXJ1100 TURBOを展示、低回転域ではターボ・ブーストのない状態でY.I.C.S.がレスポンスと燃費の向上に貢献し、過給圧のバランスをエアクリーナーBOXの仕切りでリードバルブが作動する仕組みを介在させ、ターボとフューエルインジェクションとでシステムを組んだ状態を披露した。

[

この真っ黒なアメリカン・スポーツのデザインで展示されたXJ1100 TURBOは、XS1100のノンターボ4気筒が95PSだったので、130PSを予想され世界中のファンが注目していたが、何と翌1982年にXJ650 Turboと、排気量が653ccでいかにも空力特性を追求したフルカウルのモデルをデリバリーしたのだ。

しかも他社がターボにフューエルインジェクションを組み合わせるのに対し、ヤマハはキャブレターで実用化させるという、独自のスタイルを貫くこととなった。

XS1100 TURBOで試作したY.I.C.S.やリードバルブを転用しながら、ブースト圧の極端な上昇を抑えた仕組みで、相応の加速ダッシュと高速巡航に備えた燃費の良さを両立、風洞実験を繰り返したという風圧からのプロテクションを優先した仕様で、長距離クルージングを快適に楽しんでもらおうという狙いをアピールしていた。

ターボは全メーカー認可されず、ヤマハはノンターボでこのデザインを国内リリース!

基本スペックは、63.0×52.4mmの653cc。最大出力は62.5kW(85.0PS)で、最大トルクが73.6Nm(7.5kgm)5,000〜8,000rpmというワイドな回転域で得られる、まさにターボならではのエンジン特性を得ていた。 ミッションは5速で乾燥重量は225kg、ホイールベース1,435mmで前輪19インチに後輪18インチのトラディショナルな構成となっている。

ヤマハではアメリカなどには明るいシルバーに赤いストライプのグラフィックを採用していたが、ヨーロッパ向けにはグレートーンのシックなルックスと仕様を変えていた。

ところが4メーカーから出揃ったターボ搭載のバイクは、国内ではパフォーマンスの危険度や燃費の問題などで認可されず、日本のユーザーは逆輸入車の購入を余儀なくされることとなった。 しかしヤマハはXJ650 Turboのノンターボ車として、国内向けXJ750をベースとしたXJ750Dを発表、その空力の恩恵やメーターパネルのコンピューター表示を楽しんでもらおうとしたのだ。

ただ世界でもターボ車の高価格と、大型バイクの高性能化による違いがそこまで大きくないという現実から、どのメーカーのターボも一般に広くニーズを生む可能性を認められず、ほぼ1〜2年でどれも姿を消している。 しかしダウンサイズで中型クラスでもビッグバイクの醍醐味を味わえるチャレンジが、一部のメーカーでは依然として画策されているようなので、ターボチャージャーなのかスーパーチャージャーが、また姿を現す時代の到来があるのかも知れない。