墜落制止用器具(安全帯)は会社支給か、個人負担か――。「建設労務安全衛生…こんな時どうしますか?」では、安全帯の購入者について疑問を投げかけている。本稿の質問者は会社支給が当然とし、驚きを隠せなかったようだが、逆の意味で意外と思った人もいたのではなかろうか。

 そもそも安全帯の支給義務は明確ではなく、個人や一部負担などで“自腹”で購入している作業員は少なくない。本稿では「支給すると雑に扱うし、退職時に返還をしないので、まとめて購入することで安価になったものを自己負担で購入させている」とある。理由としては正しい。

 他者から預けられたものだと、安全対策に「やらされ感」がつきまとう懸念がある。「壊れたら、また会社が買ってくれる」では安全帯を大切に扱う気持ちが薄いものになり、自然と安全軽視の気分を生みかねない。自分の身銭を切ってこそ、大事に扱うという考えだ。このほか、雇用期間の短い作業員の問題や会社支給にすると単価が上がってしまうという意見もある。

 本稿では「法律には個別に存在しなくとも、雇用する労働者から労働災害を起こさせたくないのならば、支給すべきでしょう」とあり、弊誌もこの意見を支持したい。自己負担で購入した保護具が安全基準を満たさず、ケガすると会社として責任を問われるケースがあるというが、この指摘のとおりだ。

 胴ベルト型安全帯の話で恐縮だが、ある労働基準監督署が現場を調査していたところ、プラスチック製の差し込み型バックルの作業用ベルトにランヤードを取り付けただけの“安全帯もどき”が見つかった。さらに胴ベルトにランヤードを通しただけの安全帯が発見されたこともある。信じられない話だが嘘をついているわけではない。作業員任せにしすぎると、とても安全帯とはいえない思わぬ代物にお目にかかることになる。

 また、安全帯は長く使用すれば経年劣化をする。廃棄や交換を命じたいところだが、個人負担の場合、どうしても指示しづらくなる。ハーネス型は高価なのでなおさらだ。

 やはり安全帯は会社支給が望ましい。