ドジャースの大谷翔平投手(29)が24日(日本時間25日)、敵地・ナショナルズ戦に「2番・DH」で先発出場し、6打席でキャリア初の1試合3本の二塁打を放ちチームの3連勝に貢献した。試合前には囲み取材に応じて、前日に放ったドジャース最速記録となる191キロの7号ソロについてだけではなく、多方面の話題について答えたが、全米メディアが注目したのは、水原一平容疑者(39)が訴追された賭博スキャンダルを境に変化した大谷を取り巻く環境と、サポートしてくれたチームメイトに対する感謝の言葉だった。

 キャリア初の1試合3二塁打…打率.371で現在首位打者

 大谷のバットが止まらない。
初回にいきなり左中間を破る二塁を放ち、4回の第3打席では、右中間のウォーニングトラックまで飛ぶ、あと少しで3試合連続アーチかと思わせた特大センターフライ。8回一死三塁の第5打席では右中間へタイムリー二塁打を放ち、8−2とリードを広げた。そして9回二死一、三塁の第6打席は、前夜にドジャース最速、メジャーでも歴代12位となる191キロ弾を浴びさせたマット・バーンズから、左中間フェンス直撃のタイムリー二塁打を奪った。1試合3本の二塁打はキャリア初。連続試合ヒットは「9」、連続試合出塁は「22」に伸び、現在、打率.371、39安打、14二塁打、73塁打、長打率.695、OPS1.129の6部門でリーグトップに立ったのである。
試合前には、日米の記者の囲み取材に応じた。前日の衝撃の本塁打や、好調理由を振り返り、真美子夫人についてや、交流のあるバスケット日本代表の渡邊雄太が日本に帰国してのプレーを決断したことなどに幅広く答えた。その中で全米メディアが注目したのは、専属通訳としてだけではなく公私共に付き合いが深く「兄弟」「マネージャー」とまで評されていた水原一平容疑者に違法賭博で作った借金を返済するために口座から1600万ドル(約24億8000万円)以上を騙し取られた“賭博スキャンダル”ショックから、いかにして立ち直ったかという点だった。
米スポーツサイトの「ジ・アスレチック」は、「大谷が水原一平の賭博スキャンダルから立ち直ることをサポートしてくれたチームメイトに感謝」との見出しを取った記事の中でこう伝えた。
「大谷は水原容疑者の裏切りがどのような影響を与えたか?と記者に聞かれたときにこう答えた。『まだ調査が続いていて、すべてが終わったわけではないが、この件でサポートしてくれているチームメイトらたくさんの人がいる。そこにありがたいなと感じる場面の方が多いかなと思う』」
同紙によると大谷は誰に頼ったかの具体的な名前を出すことは「言わないようにしたい」と避けたそうだが、外野手のテオスカー・ヘルナンデスやストレングス&コンディショニングコーチのトラビス・スミスとコミュニケーションをとっていたという。
ちなみにヘルナンデスは大谷がドジャース移籍第1号を放った時と、松井秀喜氏の持つ日本人メジャーリーガーの通算最多本塁打を更新する176号をマークした際にベンチ前で、豪快なひまわりの種の祝福を浴びせた人物である。

 またデーブ・ロバーツ監督によると、打撃コーチのアーロン・ベイツとロバート・バン・スコヨックとも絆を深めているという。
「彼らは本当に良い関係性と信頼を築いています」
さらに同紙は、水原氏に対しての言及は避けたものの「クラブハウスでの存在感が大きくなったように感じますが?」の質問に「そうですね、新しい通訳が素晴らしいんじゃないですかね」とジョークで返し、この日の囲み会見を通訳したアイアトン氏を称えたことを付け加えた。
大谷を取り巻く環境は、水原事件を境に大きく変化した。
またUSAトゥデイ紙も、その点に触れ「大谷がスキャンダルの後に居心地のいい場所を見つけた」とのタイトルを取り「元通訳が犯したとされる窃盗と賭博のスキャンダルに巻き込まれてから1カ月で大谷は、周囲とのつながりをより高いレベルに引き上げた」と報じた。
同紙も囲み会見での大谷のコメントを紹介した上で、「大谷はドジャースのクラブハウスが明らかに快適なのだろう。そこでの生活を難なくこなし、英語力はエンゼルスでの6シーズンよりも上達しているようだ」と伝えた。
同紙は、先日、得点圏打率が上がらない大谷とロバーツ監督が緊急会談を持ったことも伝え、「バッティングコーチとは基本的には動作的なところがメインに話しているが、監督とはアプローチについて話して、自分も納得する部分があった。早い段階で対策することでプレーがしやすくなるということを話していた」という大谷のコメントを引用。
「大谷の存在感がますます大きくなっている」との言葉で記事をまとめている。