愛車は1965年式の米フォード社のサンダーバード。無類のクラシックカー愛好者として地域で知られる話題の人が沖縄市山里の知念賢祐さん(80)だ。今年で59年目のシックなダークブルーの大型車体は新車同様の輝きが印象的。精緻なフル装備が評価され、95年、米軍嘉手納基地内で開かれたクラシックカーショーで優勝したことが大きな宝となっている。

 「家が貧乏で進学ができなかった」と振り返る伊江村出身の知念さん。中卒後、本島のモーター会社に板金工として就職。数年で技量を習得し、68年に友人3人で外車専門の修理工場を立ち上げた。その後、73年に地元でスーパー経営に転身した。

 その傍ら外車への憧れは募るばかり。88年、車種カタログで見つけたのがスポーツタイプの高級車サンダーバード。一見で魅了され、ためらわず本土の中古車専門店に電話を入れ、即決100万円で購入した。

 ところが届いた車は車体や床は穴が開き、シートはボロボロで「スクラップ同然だった」という。そこは板金工職歴の意地。原型にこだわり、「1ミリ」のゆがみも見逃さず3年がかりで全面修復、91年に車検登録した。以来愛車人生は33年だ。

 スーパーは10年前に閉じ、今は月2、3度はゴルフ場に通い、自由気ままにドライブを楽しむ。工具満載の車庫でエンジン調整など点検も欠かさない。「点検整備をきちんとすれば100年は持つ」と強調する。

 全長5.23メートル、車幅197センチ、高さ138センチ。友人らは流麗な車体、レトロ感ギッシリの車内の計器類に「まるで芸術作品のよう」と感嘆の声を上げている。

 知念さんは「できるだけ長く乗れるよう健康に気配りしている」とクラシックカー愛は尽きない。

(岸本健通信員)