衝撃の結末が待ち受けるどんでん返し映画を5本セレクト。作品紹介の後半には【ネタバレ】が含まれているので、ラストを知りたくない人は記事を読まないようご注意ください。なお「あの作品が紹介されていない!」「もっと、どんでん返し映画を知りたい!」という人は、まずは既出の記事“【まとめ】まさかのエンディングに驚愕! どんでん返し映画65本!”のチェックしてみてください。
   


『ヴィジット』
製作年/2015年 製作・監督・脚本/M・ナイト・シャマラン 出演/オリヴィア・デヨング、エド・オクセンボウルド

孫たちを襲う超絶ホラー体験に震撼!!
ご存知、シャマラン監督が手持ちカメラ風のドキュメンタリータッチで織りなす本作の主人公は、シングルマザーのもとで育ったティーンの姉弟たち。母は若かりし頃、家出同然で故郷を飛び出しており、子供らは生まれてからこのかた祖父母と会ったことがない。そんな矢先、SNS経由で祖父母から「是非孫たちと一緒の時間を過ごさせてほしい」との連絡が。母の承諾を得て、姉弟だけで祖父母の家で楽しい日々を過ごすのだが、しかし9時半以降、就寝したはずの祖父母は常軌を逸した奇怪な行動を取りはじめ……。
【ここからネタバレ】
「私たちは老人だから、調子が悪くなることも多いんだよ」との言い訳を信じた姉弟だが、度重なる奇行と恐怖体験に我慢できず、オンラインで母に祖父母の姿を見せると「その人たち一体誰なの!?」との返事が。彼らは祖父母になりすました別人だったのだ。地下室から殺された(本当の)祖父母の遺体が見つかる中、姉弟は生き残りをかけて必死の抵抗と反撃を繰り広げ、ようやく母と警察が駆けつけ無事保護されるーーー。シャマラン自身が”原点回帰”と呼び、まさに本作がきっかけで、この時期に低迷していたシャマランの評価が再び急浮上することに繋がった救世主的な一作である。
   


タイッサ・ファーミガ
『記憶探偵と鍵のかかった少女』
製作年/2013年 監督/ホルヘ・ドラド 脚本/ガイ・ホームズ 出演/マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ
記憶描写の秀逸さに唸りまくりのサイコミステリー!
記憶探偵のジョンは、人の記憶の細部へ入り込み、数々の謎や事件を解決へと導く特殊能力の持ち主。かつて妻を失ったトラウマを抱える彼のもとへ舞い込んだ新たな依頼、それは家族に反抗して食事を摂ることさえ拒否する少女アナの心を探ること。ジョンにとってはごく簡単な仕事のはずだった。しかしアナは飛び抜けたIQの持ち主で、彼女が言うには継父がこの一族の資産を独り占めすべく、娘を施設へ追いやろうと画策しているのだとか。記憶を探るうちにアナを心から信用し、いつしか自身のトラウマも薄まっていくのを感じるジョン。その時、真夜中に緊急連絡が入り……。
【ここからネタバレ】
ジョンが屋敷へ駆けつけると、アナは彼の掌に自分の血を付着させて、行方をくらましてしまう。それが状況証拠となってジョンは依然として行方不明のアナを殺害した容疑で逮捕されることに。ずっと自由を渇望していた彼女は、自らの記憶を改竄してジョンを信用させ、家族の束縛から逃れるため彼を利用したのだ。その後、別の記憶探偵の尽力によって潔白が証明されたジョン。この顛末も含めてすべてが緻密な計画の一部で、我々は彼女の手のひらですっかり踊らされていたのかもしれない。
   


トム・シリング
『ピエロがお前を嘲笑う』
製作年/2014年 監督・脚本/バラン・ボー・オダー 出演/トム・シリング、エリアス・ムバレク

逃げ場なき天才ハッカーが繰り出す究極の一手とは?
幼くして世界を繋ぐ情報網の魅力に取り憑かれた主人公ベンヤミンは、やがて腕を磨き、超絶ハッカーとして知られる存在に。個々の能力に秀でたシュテファン、パウル、マックスらとグループを組み次々と愉快犯的なサイバー犯罪を繰り広げるのだが、ネット空間のカリスマ、MRXが仕掛けた罠にはまり、とある死亡事件の容疑者として追われ、さらに顔写真や位置情報までもが筒抜けとなる事態に。逃げ場がないと観念したベンヤミンは出頭し、捜査官の前で経緯を洗いざらい告白しはじめるのだがーーー。
【ここからネタバレ】
証人保護プログラムと引き換えに、国際手配されたMRXを罠にはめて逮捕へと追い込んだベンヤミンだが、その後、捜査官は彼が多重人格者であり、シュテファン、パウル、マックスはすべて彼が作り出した別人格だと特定。しかし実は、そう思い込ませることこそが、ベンヤミンの仕組んだ計画だったという周到な二段構え。デジタル世界の攻防や取引を、あえて仮面を被った怪しげな者たちの集いとしてアナログ風に描くなど、映画ならではの趣向を駆使してドラマ性を際立たせた秀作だ。
   


『スリープレス・ナイト』
製作年/2017年 監督/バラン・ボー・オダー 出演/ジェイミー・フォックス、ミシェル・モナハン
眠らない夜をワケあり刑事が傷だらけで駆け抜ける!
2011年のフランス映画のリメイクにあたる本作は、ラスベガスで起こった輸送車の襲撃シーンで幕を開ける。それを企てた刑事コンビのヴィンセント&ショーンは積まれていたコカインを手に入れるも、やがてヴィンセントは息子を人質に取られ「コカインを返さなければ殺す」と脅される。だが、取引場所へ向かう前にコカインをトイレの天井に隠したのが運の尽き。前々から彼を汚職刑事としてマークしていた内務調査課のジェニファーによって発見されてしまう。その追って追われての複雑な相関図に凶暴なギャング組織までもが絡まり、事態はますます予測不能の渦へ……。
【ここからネタバレ】
やがて対峙したジェニファーにヴィンセントが明かしたこと。それは彼自身が潜入捜査官として2年もの間、汚職刑事になりすまし、全容解明のため命がけで奔走してきたという事実だった。ヴィンセントは執拗に追いかけてくる敵を倒して息子を救出し、一方、相棒のダグがギャングと内通していることに気づいたジェニファーも激しく横転する車の中で生き延び、なんとか彼を逮捕する。出世作『ピエロがお前を嘲笑う』の監督らしい二転三転する展開が魅力を放つ一作だ。
   


『シークレット ウインドウ』
製作年/2004年 原作/スティーヴン・キング 監督/デヴィッド・コープ 脚本/デヴィッド・コープ 出演/ジョニー・デップ、ジョン・タトゥーロ、マリア・ベロ、ティモシー・ハットン
人気作家に付きまとう謎の男の正体とは!?
人気作家のレイニーは半年前に妻の浮気現場を目撃したショックがいまだ癒えないまま、今では別居して湖のほとりの山荘で暮らしている。ある日、そこに帽子姿の謎の男が訪れ「俺の小説を盗みやがったな!」と言いがかりをつけてくる。突きつけられたその原稿に目を通すと、確かにレイニーが発表した短編と内容が瓜二つ。ただし結末だけが異なっており、男はそれが我慢できず、書き直して再出版することを要求し、レイニーが拒否するとその行動はますます過激になり、妻と恋人が暮らす住居が放火され、挙げ句の果てには関わった人たちが次々と殺され……。
【ここからネタバレ】
謎の男に怯えるレイニーの頭の中で、いつしか響きはじめる別の声。まるで自問自答でもするかのように対話を続けつつ、その瞬間、彼はハッと我に返り、謎の男を作り出していたのは自分自身だと気づく。そこへ偶然にも離婚を望む妻がやってきて、レイニーは自分を不安定な精神状態をもたらしたきっかけでもある妻を殺して家庭菜園に埋める。奇しくもそれは、謎の男が執拗に書き直しを要望したエンディングそのものだった。ちなみに原作は1990年発表のスティーヴン・キングの中編小説。
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文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
Photo by AFLO