実践的な防災の知識を伝える気象防災アドバイザーの溝上良雄さん(右奥)=佐賀市のSAGAアリーナ内サブアリーナ

 地域の防災力強化を目的に、佐賀県内の地域防災リーダーを対象にした講座が20日、佐賀市で開かれた。気象庁の「気象防災アドバイザー活用促進事業」を利用した全国初の取り組みで、アドバイザーで元佐賀地方気象台長の溝上良雄さんらから、避難の必要性を5段階で示す「警戒レベル」の活用など実践的な防災の知識を学んだ。

 自主防災組織などで中心的な役割を果たし、県の養成講座を受講した地域防災リーダーの中から、市町から推薦された約70人が参加した。

 講演した溝上さんと気象予報士の福山佳那さんは、県内で大雨警報が発令された場合の対応について話した。警戒レベルについては「防災情報は段階的に発表される。どの情報を避難スイッチにするかが重要」と指摘し、危険度を色分けして表示するサイト「キキクル」には土砂や浸水、洪水の3種類があることも伝えた。

 福岡管区気象台の中野辰美さんは「災害では行政の手が届かないことも多く、住民同士が共助して命を守る行動に取り組むことが大切」と語り、「地域防災リーダーが、住民を救う“要の存在”になってほしい」と期待した。

 気象防災アドバイザーは気象と防災の両方の知識を持つ専門人材。佐賀県と北海道、大阪府が活用促進事業の対象自治体に選ばれた。(坂本有佐)