佐賀市はオンライン相談や「書かない」ワンストップ窓口など、窓口改革を進める=同市役所

 佐賀市の2024年度一般会計当初予算は前年度比7・2%増の1121億円と過去最大の規模になった。時代の転換期にあるとの現状分析を踏まえ、「変化に向き合い、新たな価値を生むまちづくり」に取り組む。市民の利便性向上に重点を置いて予算を組んだ。

 当初予算段階で、1千億円を超えるのは5年連続となる。年々増加する社会保障費に加え、秋に開催される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会関連や、昨夏の豪雨災害復旧費が押し上げた。

 自由に使える財源が限られる中、「進化するため新技術を積極的に活用する」との姿勢で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を継続、発展する。DX関連の総事業費は約6億4千万円。時間がかかる窓口での手続きを「行かずに、待たずに済む」よう、オンライン申請を拡充する。健康や観光分野でもデータの収集にとどまらず、活用に軸足を置く。

 積み立てた基金のうち、過去最大となる約49億円を取り崩した。坂井英隆市長は「厳しさは増すが、財政は健全な状況」とし、今後は「選択と集中を意識し財政運営をしたい」と述べた。(川﨑久美子)

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 2024年度に佐賀県内の10市10町はどんな事業に取り組んでいくのか。当初予算を担当記者が点検する。

▶窓口業務改革関連事業【2418万円】

 オンライン相談や「書かない」ワンストップ窓口など、いつでもどこでも手間なく手続きができる窓口改革を進める。

▶スマートシティ推進事業【1億6327万円】

 昨年6月に本格運用を始めた市公式スーパーアプリでオンライン申請、イベントカレンダーなど機能を拡充する。アプリ操作が苦手な人にも操作支援を行う。

▶空き家対策事業【3006万円】

 相談体制や助成制度の拡充などで空き家の解消と利活用を促進し、安全安心なまちづくりを進める。

▶神野公園再整備事業【2372万円】

 市民の憩いの場である神野公園を、自然・季節、遊び、食など「七つの体験」の視点でリニューアルする。リニューアル開園は27年度を予定する。

▶こども誰でも通園制度試行的事業【4152万円】

 働き方やライフスタイルを問わない子育て支援。保護者の就労状況にかかわらず生後6カ月〜3歳未満児が保育所などを利用できる取り組みを試行する。

▶データ利用による介護予防推進事業【1963万円】

 高齢者の医療・健診結果などのデータを活用し、運動や食生活改善などを促す改善策を案内。健康管理や介護予防などの個別支援に取り組む。

▶街なかリーディング促進事業【2280万円】

 SAGAアリーナ来訪者を街なかへ誘導するため、指定駐車場の無料デーやイベントを開催する。

▶スマート農業推進事業【2998万円】

 ドローンや自動運転トラクターなどスマート農業機器の導入を支援し、生産効率・付加価値の高い「稼ぐ農業」の確立を目指す。