17日深夜に震度6弱を観測した愛媛・高知地震。「高知県宿毛市に、石川県小松市から支援物資のブルーシートと土のう袋が届きました」。先週末、NHKニュースが報じていた◆「建設機械大手『小松製作所』の創業者が宿毛市出身というつながりから」と続いた。竹内明太郎(1860〜1928年)である。こちらとも縁が深く、芳谷炭坑(唐津市北波多)で実業家のスタートを切っている◆明治期、欧米の最先端の技術を採り入れ国内有数の採炭量を誇った。機械製造部門として唐津鐵工所(現唐津プレシジョン)を設け、石川の銅山経営に伴い小松鉄工所をつくった。唐津では大学設立も計画したが頓挫。準備した資金、指導陣は早稲田大学に提供し、理工科が誕生した◆かつて炭鉱で栄え、わが国の近代工業発展の礎をうかがい知れる地。その一角、唐津市厳木町に佐賀鉄工所が新工場を建設する。自動車用ボルトの国内トップメーカー。電気自動車に対応する新製品の拠点にもなり、新たな歴史が刻まれていくだろう◆「伝統文化が絆生む」。本日の唐松特集面では古写真を交え、唐津くんちの曳山と石川・輪島塗の「技」が結んだ縁を紹介している。元日の能登半島地震を受けて支援の輪が広がり、世紀を超えて人と地域がつながる今。さまざま歴史をひもとくとより鮮明になる。(松)