大型連休はどこも人、人、人。渋滞はいやだし、人混みは疲れるし…。寝転んで手元にあった川柳の本でもめくってみる◆〈見たいもの見られた父の肩車〉谷藤ひさし。きょうは「こどもの日」。公園で、ショッピングモールで、そんな思い出が刻まれるだろう。日暮れて遊び疲れたら、メシでも食って帰るか。親も子も気分が弾む。〈家族ってこんなのかしらレストラン〉竹井紫乙◆かつては子だくさんの時代もあった。〈一匹で泳いでみたい鯉のぼり〉大家北汀。ところがいま、地域社会の現実は〈年寄りばっかりラジオ体操〉佐々木冬彦。このままでは将来、消滅しかねない自治体もあるという。〈もっと生まねば祭りみこしが上がらない〉竹岡訓恵。危機感は高まるばかり◆名指しされた自治体にも言い分はあるだろう。古川柳に〈見通しに生物知(なまものし)りの二三人〉とある。訳知り顔のもっともらしい分析は、懸命な地域の努力に水を差すだけだ、と。女性にばかり原因を求めるな、「産む道具」じゃないんだから、という声もある。〈ラブレター書かぬ息子をはがゆがり〉笹本英子。未婚男性の増加も見逃せない問題◆政府の少子化対策は功を奏すだろうか。財源の負担など国民に合意が広がっているとは思えない。〈お父さんうちにお金がありますか〉木下愛日。子どもまで心配しかねない。(桑)