吉田勇輔さんと「情水」=佐賀市の県立美術館

 唐津市出身の吉田勇輔さん(72)=福岡県久留米市=が、佐賀市の県立美術館で油彩画展を開いている。「そこに在る世界」をテーマに、植物や風景、建物などを写実的に捉えた42点を展示している。6日まで。

 鮮やかなグリーンが目を引く「情水」は、生命の根源としての水と、朽ちていくカラスウリの対比を描いた。9個並んだコップの水の量を徐々に増やして時間の流れを表現。コップの配置と同じ横長のキャンバスに自然と目が向く。

 まっさらなキャンバスを見つめるような構図の「画・業」は、対象の本質を捉えようとする吉田さんの作風を象徴するような作品になっている。

 画業が58年に及ぶ吉田さんは「石ころ一つみても、絵になると感じる」。身の回りにある自然や風景にまなざしを向け続ける。(清川千穂)