映画「土のひと 風のひと」の完成を報告する山本卓監督(左から3人目)ら=佐賀市のアバンセ

 江北町を舞台に、市民団体「さが山の学校」が製作に取り組んできた映画「土のひと 風のひと」が完成した。約1年をかけ、中山間地域が直面している高齢化や農地保全などの課題を描き出した。大坪一樹代表は「中山間地域を守ることの大切さを感じてもらいたい」と話す。

 物語は、地域おこし協力隊員の主人公が町にやって来た場面から始まる。地域住民との触れ合いをコミカルに描きつつ、増えていく耕作放棄地やイノシシなど、集落機能の維持が困難になりつつある現状を映し出した。協力して農作業をしたり、役場職員と地域のリーダーが公民館で話し合いを持ったり、イベントを開いたり…。地域の将来を思い、奔走する人たちが登場する。

 完成報告会が14日、佐賀市で開かれた。自身も地域おこし協力隊員だった監督の山本卓さん(39)は「さまざまな課題にみんなが『何かしよう』と動いていく中山間地は、青春ど真ん中!」と話し「演者やスタッフ、現場のみんなで一生懸命に作り上げた熱量ある作品」と紹介した。

 大坪代表(60)は「農地の保全や、1人暮らしのお年寄りの生活支援など抱える課題は多い。全国の中山間地域の応援につながるきっかけになり、新しい風を吹き込む作品になれば」と期待を込める。

 19日に佐賀市のアバンセで上映会を開く(チケットは完売)。多くの人に見てもらえるよう市町などでの上映も計画していく。        (中島幸毅)