「留守姉妹」(左)など山﨑正也さんの遺作が並ぶ会場=佐賀市の岡田三郎助アトリエ

 1993年に亡くなった佐賀市諸富町の山﨑正也さん(享年72)の回想展が、同市の岡田三郎助アトリエで開かれている。95年の遺作展以来約30年ぶりの展示で、絵を愛し画家を夢見た山﨑さんの日本画など20点が並ぶ。19日まで。

 息子で洋画家の正之さん(68)らが「そろそろ三十三回忌。父なら法要より絵の展示を喜ぶのでは」と企画した。着物の柄や木々の葉まで細かく描き込んだ「留守姉妹」は、76年に佐賀県展で教育委員会賞を受賞している。時を経て傷んだ賞状は、正之さんが愛らしいペイントを施した。正之さんが「家の2階からスケッチしていた父の姿を覚えている」という「新北神社祭礼の図」は、当時の祭り行列のにぎわいを伝える。

 正也さんは美術学校への進学を志したが、家庭の事情で断念した。鉄工所に勤めながら独学で日本画の技法を学び、73年から県展で入選を重ね、地元の文化祭への出品などで絵に親しんでいた。

 正之さんは「生きているうちに、もっと話して酒を酌み交わせばよかった」と亡き父へ思いをはせていた。(花木芙美)