「ユリイカ」(油彩、F50号)

 佐賀大出身の洋画家・牧弘子さん(37)=福岡県=の個展が、東京で開かれている。5年ぶりの開催で、女性や植物が織りなす華やかな世界を描いた作品をはじめ、コロナ禍に制作した大作などを合わせた19点が展示される。

 新作の油彩「ユリイカ」は、美しい自然に囲まれて本を読む女性を華やかに描いた。女性の後ろにたたずむ木の表現は、インドネシア・バリ島などの伝統的な影絵芝居の背景に用いる「グヌンガン」から着想を得た。タイトルの「ユリイカ」は、ギリシャ語で“発見した”という意味。女性が手にしている本は、新しい世界に連れて行ってくれ、新たな事柄を発見するという象徴の役割を持たせた。

 また、数年前にバリ島を訪れたことを機に、さまざまな国の伝統的な模様や、宗教などに興味を持って制作した作品も並んでいる。

 牧さんは「この5年の間に自分自身も出産などを経験した。気合を入れて制作に臨んだので、多くの人に見てもらえればうれしい」と話す。(坂本有佐)

▶東京都中央区の日本橋三越本店=電話03(3241)3311=で27日まで。午前10時〜午後7時(最終日は午後6時まで)。作家在廊は22、24〜27日(午前11時から午後5時)、25日は(午後7時まで)。