海老原誠治さん(右)と宇土谷猪鹿塔=武雄市

 イノシシやシカの慰霊塔「猪鹿塔(ししんとう)」を調査する海老原誠治さん

 人間以外の命も大切にしてきた文化に光を当てようと、九州に多くみられる鳥獣慰霊碑「猪鹿塔」を調べている。武雄市武内町真手野の山中でこのほど、文献に記録が残る市内の塔で最も古い1718年に建てられた「宇土谷猪鹿塔」を確認した。

 資料や近隣住民への聞き込みなどを元に碑を見つけた。猪鹿塔は武雄市内で9基が確認されており、市文化課の担当者は「久々に位置と現状が確認され、これまでなかった碑の写真が歴史資料に追加された」と意義を語る。

 東京都在住。佐賀大理工学部を卒業し、現在は学校給食の食器メーカーに勤める。「猪鹿塔は昔の人が食べ物を大事にしていたことを示す生きた教材。忘れられないうちに子どもたちに伝えていきたい」と話す。(花木芙美)